スマホの「漫画バナー広告」は、どうやって作られているのか?
普段から「バナー」にしたときのことを考えつつ
――なるほど......。
藤川 もちろん前提として、広告の運用基盤ができていないと、いい作品を選んでも当たりませんし、逆もまたしかりなんです。ギャンブルじゃないんで、一か八かで1つ作品を選んで、ということじゃない。たとえば少額で10本出して、数字が上がらないもの9本を外し、数字のいいもの1本に集中して予算をかけていく。いかにPDCAを早く回すかなんですよね。そして推移を見ながら、広告効果が落ちてきたら下げる。平均2カ月くらいですかね。
――単なる「カン」の世界ではないんですね。
藤川 また、他社のストアで売れているからといって同じ作品の広告を出しても、そこまで効果は上げられないんですよ。先行者メリットじゃないんですけど、他社に先駆けて、「一番乗り」でヒットコンテンツを出稿していく。そこに重きを置いています。
――となるとますます、常日頃から広くアンテナを張り続けなければいけない。
藤川 そういうことです。あとは、読むときには同時に「バナー」にしたときのことも考えていますね。「すごいストーリーは面白いんだけど、どうも絵になるところがないな」とか、「もしバナーにするならこのコマだな」とか。
――ははははは。言われてみると、自分が知っている作品がバナーになっていると、「えっ、こういうマンガだっけ!?」と驚くことがありますね。切り取りの妙といいますか。
藤川 (作中のコマを使った)GIFアニメという今のスタイルは、何百回というABテストを繰り返して確立されたものですが、ただこういった手法も、もう飽きられているのかもしれない。次の一手としてどういう見せ方がいいのか。そういうことは、いろいろ考えています。