スマホの「漫画バナー広告」は、どうやって作られているのか?
過去のデータと、「先読み」のバランス
――それにしても、こうした掲載作品は、どうやって選んでいるんでしょう?
藤川 弊社、そして広告代理店とで候補作をまず出してきて、そこから「選定会議」を行い、選ばれたものがバナーとして作られていくという形です。
――とすると、藤川さんも久保田さんも......?
藤川 もう、チーム総出で、普段から漫画をたくさん読むようにしています。代理店にも「発掘部隊」がいて、専従でずっと探している人がいると聞いていますね。
久保田 これまでのヒットの傾向というものは、「女性向けで、不倫、結婚、出産、あるいは死が絡んでくるもの」など、ある程度あるんです。そうした過去のデータから当たりを付けて探してくるんですが、ただそこだけにこだわるのではなく、今まで「出したことのない」ジャンルやストーリーのものに積極的に切り込んでいく、ということも意識しています。
――データだけを見るわけではない、ということですか?
藤川 過去のデータも大切なんですが、逆にとらわれすぎちゃうと、選定の幅がシュリンク(狭まる)しちゃうんです。当たったものだけをただ出して行けばいいわけではない。これまでのデータと、「次は何が来るのか」というニュートラルな目での先読み。そのバランスですね。「善悪の屑」も、その中から出てきました。