ガーリーなPR誌を創刊した埼玉・鶴ヶ島市の狙い
2015.08.23 17:00
公共施設建設にあたり産学官+民が力を合わせる
2014年3月、全国の町づくり関係者が熱い視線を注ぐ建物が市内に完成した。「eコラボつるがしま」。非常時の災害拠点を兼ねた環境教育施設だ。
建設に当たっては、東洋大学理工学部建築学科と住民、そして市の3者がパブリックミーティングを繰り返した。
最初に予算枠と将来の見込みを住民に提示する。次に10人の学生がそれぞれ模型を作成・展示し、来場した住民の投票にかける。同時に意見を拾い上げ、それらを分析した学生は模型を再提出する。議論と投票を繰り返しながら徐々にプランを統合し、模型も更新していった。途中で予算超過が明らかになると、それをどう抑えるか参加者が知恵を絞った。
どこかの国の国立競技場関係者に見習ってもらいたいプロセスではある。
建物は地元の工務店が施工した。市役所職員と住民でメンテナンスできるシンプルな構造だが、教会建築のような三角屋根がモダンな印象を醸し出す。
建物内には地元の鉄道模型(Nゲージ)メーカーKATOのミニチュアが展示されていた。もちろんタダで遊べる。
eコラボつるがしまの隣には太陽光発電所もある。養命酒の工場の跡地に建設されたもので、一般家庭400~500世帯分の電力使用量に相当する発電能力がある。
eコラボつるがしまも太陽光を動力としているほか、非常時には発電された電気を電気自動車に充電し、避難所となる他の公民館に供給する仕組みになっている。
この施設は予約なしで見学できる。Jタウン編集部が訪れたときは、建物内にいた地元住民が案内係を務めてくれた。
「使い始めて『おやっ?』と気づいた点もないわけではありません。そのへんをどう対処するか、みんなで話し合っているところ」
「新しい取り組みですからね。ここで得た知見を次に活かしてほしいという思いがあります」
鶴ヶ島の町については次のような印象を抱いていた。
「私は中部地方の生まれですが、鶴ヶ島で子育てして、孫もここで生まれました。もう、鶴ヶ島が故郷なのです。この町をより良くしていきたい考えは、私だけでなく住民の誰もが共有していますよ」
「何もないところですが、若い人たちの意見に耳を傾ける雰囲気があると思います。未来を担うのは彼らなんですから」