また福岡県警か! サイバー犯罪「啓発漫画」がやっぱり振り切れた出来
福岡県の警察は、漫画を使った啓発活動に極めて積極的だ。「暴力団員になると不幸な末路が待っているぞ!」と訴える漫画は、日本中の関心を集めた(参照:福岡県警が公開中の「暴力団漫画」が相変わらず生々しい...「地元におれんごとするけんな」)。萌え系でもなければ劇画調でもない、はっきり言ってしまえばヘタウマなのだが、それがかえって強烈なインパクトを市民に与えている。
徐々に独自の画風を確立しつつある福岡県警察は、妖怪ウォッチを意識した作品も生み出している。
犯罪のイメージとは真逆の可愛らしさでウケる
「サイバー妖怪」と名付けられたキャラクター9体がサイバー犯罪対策課のウェブページに掲載されたのは、2014年2月のこと。
偽サイト妖怪「タヌケチ」、フィッシング妖怪「カッパル」、悪質な書き込み妖怪「うらめし子」、なりすまし妖怪「コンコン」、ウイルス妖怪「オクルパス」、不正アプリ妖怪「ネコソギ」――。妖怪たちは続発するネット犯罪の手口を再現する。
今年8月には、著作物貼り付け妖怪「ハリテ」、ワンクリック詐欺妖怪「モウトル」、ゲームのっとり妖怪「シノビザル」の3キャラが新たに登場した。
彼らは一体どんな悪事を働くのか。
例えば、ハクション大魔王の娘「アクビ」にちょっとだけ似ているシノビザルは、ゲームのアイテムが欲しくて、他人のID・パスワードを入手し、不正アクセスしてしまう。
ところが福岡県警の妖精(?)サイビーが次のように呼びかけると、妖怪たちは「ごめんなさ~い」と謝ってしまう。
「情報セキュリティの重要性を認識してサイバー妖怪を退治しましょう」
妖怪といっても性善説を採っているあたり、妖怪ウォッチの影響がうかがえる。
2015年8月19日の西日本新聞ウェブサイトが報じたところによると、妖怪キャラクターは課内でアイデアを出し合って生まれたもので、作画は26歳の女性巡査が担当した。
超ヒットアニメ「妖怪ウォッチ」ブームを追い風に、HP(ホームページ)アクセス数は1~6月で9万6541件と、前年同期の3割増だという。
キャラ強調しすぎだよ!「サイバー犯罪 こんな人が狙われる」
いくら正義の味方の警察といっても、漫画であるからには多少の「笑い」がなければ面白くない。なぜ市民の人気を集めているのか――そのヒントを探っていると、次の3コマ漫画を見つけた。
タイトルは「サイバー犯罪 こんな人が狙われる」。
1コマ目と3コマ目を読んだ人の99%は「いないよ、こんな奴!」「自分はここまでひどくない」と思うに違いない。
「きっと自分は大丈夫」と早合点しなければよいのだが。
犯罪予防の啓発を意図するなら、ここまでキャラを強調する必要はあったのか――。お堅い警察がウケを狙ったと考えるのは、うがちすぎだろうか。