移住希望者同士がともに「なりわい」を探す―鳥取県が始めた新しい形の講座「とりラボ」
ワークショップの出来に出席者から拍手喝采
第2部はワークショップ「地方で○○をしてみたい」。参加者は3つのグループに分けられ、ゲストスピーカーのフォローを受けながら、3地域でやってみたら面白そうなコトを考えていく。
「住む・働く・鳥取県 移住フェアin東京」のため上京していた、鳥取県岩美町の地域おこし協力隊のメンバーも参加し、5人1組×3グループで課題をこなした。
1グループにつき1地域担当。アイデアを出すだけでなく、実現に必要なマネー=予算も出す。それらを整理して模造紙にまとめ、出席者の前で発表する。
初回にしてはハードルが高くないか――傍から見ていて不安だったが、初対面とは思えないほど、和気あいあいと課題をこなしていった。
参加者の職業はバラバラだったが、各人とも持ち味と経験を活かしていた。アイデアがポンポン出てくる人、分析・整理の上手な人、名コピーを考える人、字の上手な人、プレゼン力のある人――。
「ひょっとしたら、事前に講座内容を伝えていたのかも」と邪推した筆者だが、そのようなことは一切していないという。
「7月12日の発表に関しては何も告知していません。ただ、ちゃんと発表までいけるように1日全体を通して色々な仕掛けを考えて企画したことが、功を奏して良かったと思っています」(事務局代表)
講座が終了したのは18時過ぎ。予定の4時間を大きくオーバーしたが、通常の移住セミナーでは味わえない学びがあり、参加者の意欲もより高まったのではないか。
鳥取県庁とっとり暮らし支援課の担当者も会場にいた。初めての試みに不安もあったようだが、ホッとした表情を浮かべていた。
「どんな人たちが集まるのか心配していましたが、鳥取県にゆかりのある方、そうでない方、いろいろなお仕事をしておられる方、すごく前向きに移住を考えている方、いろいろな立場の人たちに参加していただき、皆さん真剣に話を聞き、積極的に関わっていただき、良いスタートが 切れたかなという印象です」
一方、県から受託を受けて今回の講座を開いた事務局は、次のように分析している。
「全体を通して、全6回の下準備・雰囲気作りとしては非常に良い感じだったと思っています。その結果は今後のセミナーや生業モデル作りに影響が出てくると思っています」
「反省点としては、(1)参加者による意識レベル・スキルレベルの違いを上手く内包できなかったこと。そして、予想はしていましたが(2)短い時間での地域プレゼンテーションだけではなかなか各地域に対する理解が進まなかったことです」
「(1)については、今後の班編成や企画の運び方にしっかりと反映していきたいと思っています。(2)に関してはFacebookグループなどを通じて出来る限りのフォローをしていきたいと思います」
7月25・26日の第2回は、ゲストスピーカーの所属する団体が2日間かけて3地域を案内する。 都会人と鳥取人、さらに参加者同士が結びつくことによって、どんな生業モデルが生まれるだろうか。