なんとも"めでタイ"お祝い料理! 愛媛県宇和島市の「鯛そうめん」
■「宇和島」の鯛そうめん
瀬戸内海沿岸の郷土料理である鯛そうめん。同じ愛媛県では、五色そうめんで有名な松山市でも鯛そうめんが名物とされています。宇和島では、いつ頃から食べられているのでしょうか。
宇都宮さん「定かではありませんが、江戸時代の末期には既に食べられていたようです。宇和島藩主の伊達家が外から持ち込んできた食文化が、宇和島に根づいたという説があると聞いています」
鯛そうめんは、「鉢盛り料理」と言われる大皿や大鉢にさまざまな食材を盛りつけた、南予地方の郷土料理の一種。その「鉢盛り料理」は、高知県の伝統料理である「皿鉢料理」が波及したものとする説があるそうです。そうして流入した食文化が定着して、宇和島でも鯛そうめんを食べるようになったのでないかということでした。
宇都宮さん「私も南予地方出身ですが、子どもの頃からお祝いごとのたびに鯛そうめんを食べました。その習慣は、もちろん今でも変わりません。『さしみ』、『ふくめん』(※1)、『ふかのゆざらし』(※2)、『盛り込み』(※3)などと一緒に、結婚式などで振る舞われることが多いですね」
※1 丸い皿にのせた味つけこんにゃくを、紅白のそぼろ、ねぎ、みかんの皮で飾り付けた宇和島の郷土料理。
※2 湯通ししたふか(サメ)を、酢みそで食べる宇和島の郷土料理。
※3 魚や肉などを大皿いっぱいに盛りつけた、盛り合わせのようなもの。
基本的にはハレの日の料理。ほかにも、外からやってきたお客さんを歓迎する席や、宇和島に親類が帰省したときに、鯛そうめんをみんなで取り分けて食べるそうです。
宇都宮さん「外から来た人にどーんと出すと、やっぱり驚かれますね。普通のそうめんとはまた違う味なので、喜んで食べてくれます。私みたいな地元の人間にとっては、昔から集まりの場所にあって、『今日も食べられるんだなあ』っていう安心感をくれる料理ですかね」
実は、宇和島は鯛の産地として知られています。天然モノはもちろん、養殖鯛の生産量は何と日本一! 全国に鯛そうめんは数あれど、地元の魅力を生かした「宇和島」の鯛そうめんは、宇和島の個性が詰まったここにしかない味。愛媛を訪れたなら、ぜひおすすめしたい料理です!
店舗情報
店舗情報
●かどや 駅前本店
住所:愛媛県宇和島市錦町8-1
電話:0895-22-1543
営業時間:11:00〜14:30、17:00〜21:00(木曜日のみ午前休)
※鯛そうめんは要事前予約。
http://www.kadoya-taimeshi.com/
※記事中の情報・価格は取材当時のものです。
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