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川崎市長宛に届く、市民からの「御礼の手紙」がほっこりする

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2014.08.08 19:33
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神奈川県川崎市には、自らの意見を直接市長に伝えられる制度がある。

手紙は市長が直接読む

川崎市は多種多様な住民で構成される都市だ。

東京湾に近い川崎区は京浜工業地帯の中心で、競輪や競馬場、風俗産業も揃う。昔は公害で悩まされた地域でもある。
一方、西部の麻生区・多摩区・宮前区の丘陵地帯は「第4の山の手」と呼ばれた新興住宅地で、典型的な東京のベッドタウンとなっている。

川崎市内の工場の夜景(Ys[waiz]さん撮影、Flickrより)
Keihin Industrial Zone

市の資料によると、2008年の生活被保護率は麻生区が8.27%なのに、川崎区は42.13%と約5倍の差がある。同じ政令指定都市の中でこれだけの開きがあるのは珍しく、住民の気質もだいぶ違う。

そんな個性豊かな街の「世情」を知るため――というわけではないだろうが、川崎市では「市長への手紙」という制度が1972年に始まり今も続いている。市内82カ所に設けられた専用ポストに手紙を投函すると、「市民の声担当」部署を経由して、市長が直接目を通す。

全体の1%を占める「礼状」

メールまたはFAXでも送ることができるが、受理件数は年々減少している。2008年度は1407件の受付があったのに対し、2013年度は1169件数にとどまった。 内容別では「要望」がトップで54.6%。以下、「苦情」が24.3%、「提案」が7.7%と続く。「礼状」は18件と1.1%を占めるにすぎないが、その内容は読み手の心をほっこりさせるものばかりだ。

その一部が公開されているので、ここに紹介しよう。

  • 父がすい臓がんと告知され、闘病生活が始まった。包括センターや病院では本当に世話になり感謝している。
  • 突然意識を失い倒れてしまったが、偶然通りかかった川崎病院の医師他数名の方が蘇生術を施してくれて、救急隊が到着したときには意識が戻っていた。家族共々本当に感謝している。
  • 市バスを利用した時の運転手さんが、とても親切で乗る時も降りる時も声をかけてくれた。他のお客さんにもとても親切で運転も優しい運転で、心地よく乗ることができた。
  • 区役所で、戸籍係の方がとてもわかりやすく親身に対応してくれとても良かった。
  • 母が強制勧誘に遭い困って消費者行政センターに連絡した処、母と私の話の聞き取り、相手方新聞販売店との交渉等、わずか2時間半で全てが終了した。母も大変感謝している。

最後のお礼のように、そもそもどんなトラブルがあったのだろう――と気になってしまうものもあったりするが、いずれも市民に親身になって働く職員たちの姿をほうふつとさせる。

手紙には原則としてすべてに回答があり、案件によっては市長の指示がある。
寄せられる手紙の中には対応が困難なものも少なくないだろうが、1通1通に向き合う姿勢は評価したい。

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