立ち往生の新幹線で生まれた〝温かな交流〟に21万人が感動 「優しい世界」「心に沁みます」
2024年8月29日、台風10号の影響で東海道新幹線は計画運休や運転見合わせが相次いだ。
中には数時間車内に閉じ込められることになった乗客もいるという。
そんな立往生する新幹線の中での心温まる体験談がX上に投稿され、大きな反響を呼んだ。
それは、こんなエピソードだ。
「乗客の一人が『お土産で渡せなくなってしまったので、よければ食べてください』と、今日賞味期限きれる大福を乗客の皆さんへ配っていた」
大福の写真とともに体験談をXに投稿したのは、京都府在住の会社員・カナダ(@tkn0407inym)さん。
平時ならなかなか発生しない他の乗客との心温まる交流に、ユーザーからは21万件を超えるいいね(9月3日夕時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「心配りが素晴らしいですね!」
「大変なときにこういう小さな親切、本当に心に沁みますね」
「災害の中でこういう些細な気配りが身にしみる・・・」
「優しい世界」
Jタウンネット記者は2日、投稿者のカナダさんに当時の詳しい話を聞いた。
立往生する新幹線の中で...
カナダさんは東京での仕事のため、午後3時16分京都駅発の「のぞみ228号」に乗車。
そしてその新幹線は静岡県における雨量規制のため、午後4時17分に豊橋駅の通過線に緊急停止した。
当時車内はほぼ満席だったが、特に混乱は起きていなかったという。
しかし午後7時過ぎ頃、「運転計画をしているため発車のめどは立っていない」とアナウンスが。
車内のドアは一向に開くことはなく、この間に体調不良を訴える人も現れはじめる。
そんな中、カナダさんは一人の女性が乗客たちに何かを配っている声を耳にした。
それが、話題の大福だった。
彼女はカナダさんのもとにもやってきて、それを勧めてくれたそうだ。
「いただきます!」と受け取ったカナダさんは、その時食べた大福の味をいまだに忘れることができないと語る。
「大福の甘みが身体中に染み渡るようなおいしさでした!」
「この時自分も不安の中にいたので、大福の甘みや食感は普段食べるものとは何か違う味がしたように感じました」(カナダさん)
大福をくれた女性と再会し...
その後、カナダさんは大福をくれた女性と車内で再会した。
「美味しかったです!」と伝えると、彼女は「よかったです!」と喜んだ表情を浮かべていたという。
立往生してから約5時間が経過した午後9時47分、新幹線はようやく豊橋駅を発車した。
X上に投稿した体験談には多くの人々からコメントが寄せられ、カナダさんは予想外の反響に驚いたという。
配られた大福を販売している「小ざくらや一清」(愛知県名古屋市)に勤める和菓子職人からも、喜びのメッセージが届いたそう。
電車が立往生する中、女性や落ち着きを持って行動していた乗客、JRの乗務員すべてに感謝したいと述べたカナダさん。
「緊急時こそ『我こそは』ではなく『落ち着いて行動する」ということがどれだけ大切な事か改めて考えさせられた一生忘れることができない出来事になりそうです」
と当時を振り返った。