「私の会社の前を朝から晩までうろつく汗だくの男性。『ちょっとおかしい』と感じて...」(千葉県・60代女性)
翌朝、あの男性の姿は...
翌日、もしそこに男性が同じような格好でいたら、警察に連絡しようと朝からドキドキしながら出勤。
その男性はいませんでした。
「中年の女性が訪ねてきている」と同僚から呼ばれて応接室に行ったのは、それから2か月ほどたったある日のことです。
あの時の男性のお連れ合いの方でした。
夫君はある日の午前中、近くの税務署に出かけて行ったきり、夕方になっても戻らなかったのだといいます。
翌朝は捜索願いも出して探しても見つからずでしたが、その夜、出た時と同じ格好で戻って来て、そのまま入院したそうです。
その後、少しずつ回復し思い出しながら話したのは、「自分の家がわからなくなってしまい、ウロウロ探し回っていた記憶と、缶ジュースを飲んで我にかえった」ということ。
入院中も「缶ジュースを渡してくれた人にお礼を言いたい」と言って気にしていたこと。
その気持ちを思いやり息子さんが電話帳を調べてやっとここにたどりつけたこと。
彼女はそんないきさつを話し、手土産の和菓子を差し出しながら何度も何度もお礼を言ってくれました。