「閉店間際に入った田舎の中華料理店。私たちの他に客はいないのに、厨房のおじさんが...」(福岡県・50代男性)
他に客は誰も居ないのに...
毎日訪れた先の人々と交流しながら、歩を進めた3日目の午後8時ごろ。
田舎町でようやく見つけた小さな中華料理屋さんで、中華丼や餃子などを注文した。
閉店間際のこの店には、私と友人の二人だけ。注文した品はすでにテーブルに並び、もう調理するものはないはずだけど、厨房のおじさんは何かを作っている。
しばらくして、おじさんが八宝菜と酢豚などを、おばさんがビールを持って私たちのテーブルにやってきた。
「はい、どうぞ」
「え?頼んでませんよ」
「いいと、たべなさい、おなかすいとるやろ?」
大きなリュックをもって、汗臭くなった私達を見て、ごちそうしてくれたのだ。2人では食べきれないほどの量だった。
そんな格好して何をしているのか? なんでそんなことをしているのか? 色々聞かれて話をした。そして午後9時になるころ、会計を済ませて店を出ようとしたら、こう言われた。
「今日泊まるところはあるのか?」
「いや、いまから神社探して、テント張って休ませてもらうつもりです、近くに神社ありますか?」と聞くと、「うちに泊まれ」と言ってくださった。