岩手の郷土料理「ピーマン味噌」を知っていますか? 豆腐にかけたら逆に後悔...相性良すぎて箸、止まんねえ!
ピーマンをいつもとは違う方法で食べてみたい――そんなピーマン好きに提案だ。
「調味料」にしてみるのはいかがだろう。
こちらは「ピーマン味噌」。ピーマンの特産地のひとつ、岩手県の郷土料理だ。
生まれも育ちも埼玉県のJタウンネット記者がピーマン味噌と出会ったのは、盛岡市上鹿妻の産直施設「あいさい舘」の事務局長・村上祐子さんに教えてもらったのがきっかけ。
どんなものか、どんな味か、全く想像できずにいる記者に村上さんはこう説明した。
「盛岡の伝統食の1つで、豆腐や納豆に適量を入れて食べるのがおすすめです」
しかし、聞いても分からない。記者は納豆と豆腐にピーマン味噌をかけて食べてみることにした。
何なんだこの激ウマ調味料は
ピーマン味噌単体で口にすると、味は甘くて濃い。焼き鳥に使う味噌タレを凝縮したかのようだ。これを豆腐にかけるとどんな変化をもたらしてくれるのか......。
結論から言えば、記者はピーマン味噌を豆腐にかけたことを激しく後悔した。
ピーマン味噌によって豆腐のミルキーな大豆の甘みと香りが際立つ。とろけるような旨味が体中を駆け巡り、箸を動かす手が止まらない。
あまりの相性の良さに感激した記者は、豆腐を買い足して、撮影後も2日続けてピーマン味噌をかけた豆腐を食べた。本気で「もうピーマン味噌以外をかけた豆腐は食べられない」とまで感じてしまうほどだった。
続いては、納豆にピーマン味噌をかけて食べてみよう。
素朴な納豆と濃厚なピーマン味噌はもちろん相性抜群。納豆と絡み合うことでピーマン味噌のおいしさが大海原のように広がっていくのだ。
そして、豆腐を食べている時には感じられなかったのだが、ほんの少しだけ辛い後味が残る。
甘いだけでなく辛さも持ち合わせているようだが......そもそも「ピーマン味噌」ってどういう食べ物なの?
村上さん直伝のレシピを紹介
2023年6月1日、記者の取材に応じた村上さんによると、「ピーマン味噌」はピーマンと麴、砂糖、しょうゆ、青南蛮(青唐辛子)で作られている。「味噌」と名前についているが、味噌は使われていない。
村上さんによるとこれは「ピーマンの収穫時期になると各家庭で作るもの」。材料さえあれば誰でも作れるし、村上さんのように産直施設でお手製のピーマン味噌を売っている人もいるという。
そこで今回は、村上さん流のピーマン味噌レシピを教わった。
今回紹介するのは、あくまで村上さん流。ピーマンの食感を残すために一部を大きくカットしたり、ピーマンの代わりにパプリカを使ったり、青南蛮を入れないなど、それぞれの口に合うようレシピを工夫しても良い。
「納豆や豆腐だけでなく、焼きナス、炒め物など多くの料理に使える万能調味料です」(村上さん)
様々な料理にピーマン味噌を加えて、新たなおいしさを見つけてみるのも良さそうだ。
ところで、なぜ「ピーマン味噌」は岩手の郷土料理になったのか。
岩手県農林水産部の職員に取材したところ、同県では1975年ごろにピーマンの作付面積が拡大。農家の間でピーマンがもったいないと「こうじなんばん」や「なんばんのしょうゆ漬け」といったメニューのレシピを応用して作られた。このレシピが農協女性部の方が実施した料理講習会などを通じて、岩手の県南地域に広がっていった、と考えられるそうだ。