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岩手の祭り屋台に並んでいた「黄色とピンクの丸いやつ」 謎のローカル菓子「たぐりあめ」ってナニモノ?

大山 雄也

大山 雄也

2023.05.27 20:00
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焼きそば、タコ焼き、じゃがバター、りんご飴、かき氷、チョコバナナ......。縁日や祭りに並ぶ屋台では、いろんな食べ物が売られている。

読者もそれぞれに、いっとう好きな「屋台グルメ」があることだろう。

では、この食べ物のことは皆さんご存じだろうか。

たぐりあめ(2023年5月23日、Jタウンネット撮影)
たぐりあめ(2023年5月23日、Jタウンネット撮影)

割り箸に黄色とピンクの丸い何かがくっついている。これは一体、どういうものなのか。

生まれも育ちも今の住まいも埼玉県であるJタウンネット記者がこの食べ物を知ったのは、ツイッターユーザーのkepareshizukuish4(@31JilxiMJkgNxOg)さんによる、2023年5月10日の投稿がきっかけだった。つぶやきの内容は、以下の通り。

「待って、30数年生きてきて、たぐりあめが岩手にしかないものだと初めて知った」

......"たぐりあめ"だって? 聞いたことがない名前だ。というかこれ、飴なの?

以前は出店の定番だった

15日に記者の取材に応じた投稿者・kepareshizukuish4さんは岩手県雫石町出身・在住。8年ほど関西地方で生活していたが、最近になって「たぐりあめ」が岩手のものと気づいたという。

「大人になってからはあまりたべなくなりましたが、優しい柔らかいおせんべいの味と、水飴のハーモニーが幼少のころを思い出させてくれる味です」(kepareshizukuish4さん)

kepareshizukuish4さんにとっては、子供の頃からの馴染みの味らしいが......。まだどんなお菓子なのか想像がつかない。

記者は16日、たぐりあめを販売している盛岡市上鹿妻の産直施設「あいさい舘」の事務局長・村上祐子さんにも話を聞いた。

たぐりあめを作る村上秀雄さん(写真は村上さん提供)
たぐりあめを作る村上秀雄さん(写真は村上さん提供)

村上さんによると、黄色とピンクの丸は薄いせんべい。話題の「たぐりあめ」はそのせんべいに、割り箸に付けたあめをせんべいで挟んでいる。かつては岩手県内のお祭りの定番の商品で、「30代以上の岩手の方ならご存知の方も多い」とのことだ。

もともとは、せんべいの中のあめが「たぐりあめ」。水あめに玉砂糖を入れて好みの硬さに仕上げたものだ。昔は桶にあめが入っていて、適量を"手繰っていた"ことから、たぐりあめの名前が付いたと言われているそう。

職人あめを容器から手繰っている様子。作っているのは村上秀雄さん(写真と付箋は村上さん提供)
職人あめを容器から手繰っている様子。作っているのは村上秀雄さん(写真と付箋は村上さん提供)

他の地域にも「たぐりあめ」はあるが、村上さん曰くせんべいで挟むのは岩手特有らしい。

貴重なたぐりあめを初体験!

岩手県民に愛されたたぐりあめだが、今となっては作れる人が少なくなっている。コロナ禍など様々な理由で廃業していったというのだ。

そんななか今も「たぐりあめ」を作り続ける貴重な職人の1人が「あいさい舘」の組合員である村上秀雄さん。曽祖父の代から約90年近く続く屋号「飴屋」を継いでいる。岩手県内で行われるお祭りなどに出店を出しているほか、あいさい舘への出品も行っている。

今回、事務局長である村上さんと飴屋の村上さんがご厚意で東京にあるJタウンネット編集部にたぐりあめを送ってくれた。

たぐりあめ(2023年5月23日、Jタウンネット撮影)
たぐりあめ(2023年5月23日、Jタウンネット撮影)

初めてのたぐりあめ体験。パリッとしたせんべいと粘り気が強いあめのコンビネーションは、食べていて楽しい。わたあめのように優しくてシンプルな甘さで、初めてなのに「懐かしい」と感じられた。

強烈なインパクトがあるわけではないのだが、子供の頃の自分を思い出しておセンチになってしまった。オフィスじゃなかったら泣いていたかもしれない......。

童心に返らせてくれた「たぐりあめ」。村上さんの後継者は現在のところ不在だが、いつまでもこの味の歴史が続きますように......。

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