「ミニスカの下にギプスを巻いて下校する女子高生の私。雨の中を歩いてたら、車に乗った男性たちが...」(秋田県・30代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Y さん(秋田県・30代女性)
Yさんは高校生のある夏休みに、足の手術をした。その後、数か月ほどギプスを付けて通学していたという。
そんなある日の放課後、傘を持っていないのに雨が降ってきてしまい......。
<Yさんの体験談>
今から20年以上前、私が高校生だったときのことです。夏休みを利用して足の指の手術をし、2~3か月ほどギプスを巻いて電車通学していました。家から駅までは母の車で行き、帰りは母が仕事のため車で迎えに来られないため徒歩で。
ギプスのかかとに少し段差をつけて歩きやすいようにしてもらっていたので松葉杖はなく、ミニスカートの制服にギプスを巻いているという、異様な格好でした。
若い男性ドライバーが......
その日もいつも通り電車から降り、トボトボ歩いて帰っていました。いつもと違ったのは、歩いている途中で雨が降ってきたことです。
「ギプスは絶対濡らしちゃダメだからね!」と母には何度も言われていましたが、雨は予想外。傘も持っていなかったので、とりあえず雨宿りができそうな場所まで歩きました。
帰り道は国道沿いということもあり、ドライバーたちからは「変な女子高生がいる」と思われていたかもしれません。でも、そんなことより「早く止まないかなぁ...」と思いながら空を見上げていました。
すると、ちょうど信号待ちで止まっていた若い男性ドライバーが窓を開けて、私に向かって叫んだんです。
「傘貸すから持っていきな!」
男性は雨に濡れる私を見かねて、傘を貸そうとしてくれたのです。しかし、恥ずかしさと、貸してもらっても返却できないという思いから、私は「大丈夫です! すぐそこの家なので」と断ってしまいました。
「ほっとけるわけねーべ!」
やがて、少し雨が止んできたので歩き出しました。でもまたすぐに雨足が強くなってきて、次の交差点に差し掛かった時、同じく信号待ちしていた別のドライバーさんが傘を持って走ってきてくれたのです! しかし、私はやっぱり恥ずかしくてそれを受け取ることができませんでした。
そうこうしている内に、もうギプスの中はぐちょぐちょに濡れていて、自分もずぶ濡れ。「あぁ......怒られる」と半ば諦めながら歩いていると、今度は車屋のおじさんが傘を持って走ってきてくれました。
私は「もうこんなに濡れてるし、家もすぐ近くなので大丈夫です。ありがとうございます」と言いましたが、そのおじさんは
「いいから! こんなにびしょ濡れでギプス巻いて歩いててほっとけるわけねーべ!」
と言って、強引に傘を貸してくれました。私は、それがとっても嬉しかったです。
つい断ってしまったけど、私の姿を見て傘を差し出してくれた人、声をかけてくれた人、こんなに優しくて思いやりのある大人がいるんだなぁと心から思いました。
「あの日のスコールには感謝です」
そのことがあったので、困ってる人には自分から声をかけようと思うようになりました。あの時のお三方、本当にありがとうございました。
後日談ですが、ギプスは当然巻き直しで、次の日病院に行きました。母に怒られることはなく、車屋さんに借りた傘も、母と一緒に返しに行き、お礼を言いました。
素敵な大人の方たちに出会えて、あの日のスコールには感謝です。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
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