あの妖怪は実在した? 座間市にある「一つ目小僧地蔵」は、何を供養しているのか
一つ目小僧は実在した?
近付いてみても、お地蔵さんには目が2つある。
周囲にその由来や詳細が書かれた看板などは一切なく、なぜこの地蔵が「一目小僧地蔵」なのか分からない。
そこで10月24日、Jタウンネット記者は座間市生涯学習課を取材。すると職員が、市史に載っている一つ目小僧にまつわる言い伝えを教えてくれた。
「1932(昭和7)年6月に、栗原(編注:芹沢公園や地蔵のある墓地がある地域)で『墓堀り当番』が墓を掘っていると頭骨が出てきました。この頭骨は目が1つしかなく、角が2本生えているものでした」
なんと、土葬用の穴を掘る「墓掘り当番」が、「一つ目」の頭骨を実際に発見したという記録が残っているというのだ。この頭骨は墓堀り当番によって埋め戻されたものの、「一つ目小僧の骨が出た」と噂は広がった。
その後、「一つ目」の頭骨は座間市内の寺に埋葬されたが、別の寺に改葬されるなど転々とし、いつしかどこに埋められているのかがわからなくなってしまったという。
26日、一つ目の頭骨が埋葬されたことがあると言われる寺の一つ「崇福寺」(座間市栗原)の住職にも話を聞くと、この伝説と「一つ目小僧地蔵」との関係も判明した。
「あのお地蔵さんは発見された(一つ目の)頭骨を供養するために建てられたようです。卒塔婆がありますし、お供え物もありますから、今もちゃんと供養されているのでしょう」
流浪の末に行方がわからなくなってしまった悲しい一つ目の頭骨。それは本当に「妖怪・一つ目小僧」だったのか、その真偽は誰にも分からない。だが、誰かの手によってお地蔵さんが建てられ、今でも供養し続けている人がいる、それだけは幸せなことかもしれない。