「自転車旅の途中、山道で事故った高校生の私。バイクに乗った二人組が『ここで待っていろよ』と言って...」(大阪府・60代男性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Uさん(大阪府・60代男性)
それは、まだ高校生だったUさんが一人でサイクリングをしていた時の事。
車の通りも少ない坂道で転倒した拍子に、自転車のタイヤが壊れてしまい......。
<Uさんの体験談>
今から約47年前、当時17歳の高校生だった私が、夏休みに一人で南九州を自転車でまわった時のことです。
霧島からの下り坂で転倒し、自転車の前輪リムが曲がってしまいました。
「絶対に戻ってくるから、ここで待っていろよ」
どうしたものかと困っていたところ、ちょうど通りがかった1台のバイクがそばに停車しました。
乗っていたのは20~22歳くらいの2人組。彼らはバイクから降りると、運転していた方が私の自転車の曲がったタイヤを工具ではずし、後方に座っていたもう1人がそのタイヤを運転手との間に挟む形で持って、再びバイクに跨ります。
「絶対に戻ってくるから、ここで待っていろよ」
2人はそう言って、私の自転車のタイヤを持ってバイクで坂を下っていきました。
そうして待つこと数時間。2人が坂を上って再び現れました。まっすぐになった自転車のタイヤが、二人の間に挟まれています。
そして、タイヤを私の自転車に装着すると、こう言いました。
「この下に自転車屋さんがあるから、そこでお金だけ払って行ってね」
2人は、私の代わりに壊れたタイヤを修理しに行ってくれていたのです。
「神様に出逢ったとしか考えられない」
私は「すみませんでした。お名前教えてください」と2人に言ったのですが
「いやいや、ツーリング仲間じゃん」
「この先も気をつけて行けよ!」
と言っただけで、名前も何も言わずにまた坂を下って行きました。
その後、言われた通り自転車屋さんで修理代を支払った私は、「バイクの人たちの名前はわかりますか?」と尋ねてみたのですが、「まったく知らない人だったよ」と言われました。
なぜあの時バイクのナンバープレートを控えておかなかったのかと後悔しました。
坂の麓に自転車屋さんがあるのを知っておられたので、地元の人(鹿児島か宮崎)だったのだろうと推測しています。
通る車が少ない霧島の山道、高校生がそこで自転車の自損事故を起こしてしまった。助けを求めるにしろ、携帯電話などはまだない時代。そこで助けてくれたバイクの2人。
神様に出逢ったとしか考えられない出来事でした。しかし、若かったこともあり、当時はちゃんとお礼も言えませんでした。
あの二人には、「人にやさしく、困っている人を助ける精神を教わりました。それから私は、困っている人が目の前にいたら声掛けをするようにしています。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください)