「婆さんと爺さんが追剥ぎにあって殺されて...」 超不穏な伝説を持つ「子授け地蔵」が謎すぎた
「この付近を通りかかった婆さんと爺さんが、追剥ぎにあって、一生懸命にげたのだが、老人のこととでにげきれずに殺されてしまった」
こんな、あまりにも可哀想なおじいさんとおばあさんの物語が書かれた看板が、茨城県つくば市と石岡市の境い目あたりにある。
そこでは哀れな2人を供養するために当時の村人たちが石仏を作ったという伝説が紹介されていて、なんだか祟られてしまいそうな気さえしてくるが......実は看板には続きがある。
「この石仏を抱くと子宝に恵まれるというので、お詣りする人がたえない。そこで抱き石ともいわれている」
看板の一番上には「子授け地蔵」という名が。それが、村人たちが作ったという石仏のことなのだろうか。
なんか......話が飛躍しすぎじゃない?
実際に行ってみた
憂鬱すぎる由来を持ちながらも、子宝にご利益がある――この何とも不思議な「石仏」はどんな姿をしているのか。
2022年6月30日、Jタウンネット記者は現地に向かった。
訪れたのは、表筑波スカイラインの道中にあるスポット。石岡市の媼ヶ峰(ばあがみね)駐車場を抜けると、草木が生い茂る中に赤い鳥居が見えてくる。その横にあるのが問題の看板だ。
鳥居をくぐって進んでいくと、願い事を書く木札の記帳台や、木札を奉納して賽銭を入れる箱があった。
ただ、草木が伸び放題でかなり荒れている印象を受ける。あたりには小さな地蔵が複数あったが、「抱き石」に関する説明は見当たらない。
その先には「遊歩道」と書かれた看板が立っていて、道はまだ続いてる。「子授け地蔵」は向こうにあるのか......?
若干の不安を抱きつつ筆者はさらに足を進めた。
「子授け地蔵」とは結局、何だったのか
遊歩道を進んだ先で筆者を待っていたのは......金ぴかに輝く大きなお地蔵様だった。まぶしいぜ。
だがこの地蔵、看板に書いてあったように抱けるシロモノではない。そもそも、作りも石っぽくない。
これが「子授け地蔵」? 伝説にある「抱ける石仏」というのは、どこ? 改めて敷地内を散策したが全くわからない。
そこで7月13日、茨城・石岡市商工観光課の担当者に抱き石はどこにあるのかを聞いてみた。すると、衝撃の答えが......。
「木札を奉納する場所の辺りに石のお地蔵様が点在していたと思うのですが、『あれら』が抱き石だと言われています」
なんと、筆者も抱き石に遭遇していたのだ。しかも、複数。そんなにあちこちにあるとは思わないよ......。
こうなってくると気になってくるのが、あの金ぴかのお地蔵様。抱き石の伝説と関係ないし、なぜあんなものがあるのか。
「実はあの金のお地蔵様のことはよくわからないんです......」(石岡市商工観光課の担当者)
一番目立つやつなのに、一番存在が謎ってどういうこと!? もはやあの金ぴかが「子授け地蔵」なのか抱き石たちをまとめて「子授け地蔵」と呼ぶのか、皆合わせて「子授け地蔵」なのかもわからない。
商工観光課の担当者もどれが「子授け地蔵」なのかは「把握していない」とのことだった。
ただ、駐車場の出入口には、こんな立て看板も。
これだけ見れば金ぴかが「子授け地蔵」のような気もしてくるが......。
謎が謎を呼ぶ――霊峰・筑波山の目と鼻の先には、不思議すぎるスポットが存在していた。