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北海道から沖縄まで...「全長1万キロの歩道」で日本列島を繋ぎたい! 超壮大な夢を追う「JAPAN TRAIL構想」とは

城戸 譲

城戸 譲

2022.06.30 18:00
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「ここに立てば、日本が見えてくる」

「人が歩かないと、道は消えてしまうんです。廃道になります。そういう例が、いっぱいあります。
JAPAN TRAILが、きちっと出来あがるには、相当な時間がかかると思います」

記者発表会でそう語ったのは、日本ロングトレイル協会の中村達(とおる)代表理事。中村氏によると、以前から全国の歩道をつなぐ構想はあったが、長期休暇を取りにくい日本人のライフスタイルもあって、実現は難しかったという。しかしコロナ禍のリモートワークで休みに余裕が出てきたこと、自然や健康への関心が高まっていることなどが追い風になった。

「JAPAN TRAILは、全部歩けというものではない。ここに立てば、日本が見えてくる(ということ)。
『この道は、北海道から九州、沖縄まで続いているんだな』と、子供たちに知って欲しい。それがライフスタイルの変容を、しっかり後押ししていくパワーになっていくのではないか」(中村氏)
第一次ルートマップ
第一次ルートマップ

プロジェクトは、公益財団法人「安藤スポーツ・食文化振興財団」が支援する。「カップヌードル」生みの親である故・安藤百福氏が立ち上げ、青少年のスポーツ振興などに取り組んでいる財団だ。

百福氏の子で、財団理事長の安藤宏基氏(日清食品ホールディングス社長)も、先日ロングトレイルの一部を歩いたという。

安藤スポーツ・食文化振興財団 安藤宏基理事長
安藤スポーツ・食文化振興財団 安藤宏基理事長
「登山じゃなく裾野を歩くんだと思っていたんですが、道も岩山なんですね。靴ずれするわ、爪は割れるわで、大変だったんですが、日本アルプスの景色を見ると、スカッとしますね。
各所に素晴らしい光景や歴史・文化があり、行くたびに新しい発見があって、本当に心が清らかになる。ビジネスマンには良いと思います」(安藤氏)

JAPAN TRAILのルートは、日本ロングトレイル協会加盟団体がかかわるロングトレイルや、環境省の定める長距離自然歩道などをたどるもの。今回発表された第一次ルートは暫定ルートで、そのうち約50%が歩行可能な道であると確認されている。

今後、各地の観光資源も考慮しつつ、完成度を高めるという。地域を歩き、アクティビティを体験することで「着地型観光」への効果も視野に入れる。

「ロングトレイルだけに、大変な長い道のりです。おそらく10年、20年かかっていくかと思います」(協会の節田重節会長)
左から、日本ロングトレイル協会・中村達代表理事、安藤氏、節田重節会長
左から、日本ロングトレイル協会・中村達代表理事、安藤氏、節田重節会長

整備も踏破も数十年スパン。現時点では公式サイトと、スマートフォンアプリの提供程度だが、将来的には進入路や分岐点に、JAPAN TRAILの道標を設置する計画もあるという。

壮大なる「夢の歩道」の計画は、まだ始まったばかりだ。

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