「150年後もお待ちしています。」 東京国立博物館の「メッセージ」に心打たれる人続出→込められた思いを聞いてみた
東京・上野にある「東京国立博物館(トーハク)」が、2022年3月に創立150周年を迎えた。同館ではそれを記念し、創立150年記念事業を展開中だ。
そんな中、あるツイッターユーザーがこんなつぶやきを投稿し、注目を集めている。
「東京国立博物館の150周年記念、キャッチコピー(って呼ぶんだっけあれ)の、『150年後もお待ちしております。』がめちゃくちゃ好き
今生きてる人は誰一人として生き残っていないのは確かでも、150年後に人を変わらず招き美術品その他を維持管理し続けているという矜持が好き」
6月9日に投稿されたこのツイートには、6万1000件以上のいいね、1万2000件以上のリツイートの他、
「なんていうか受け継げるという自信と実力と誇りがあるんだと思うと胸が熱くなりますね!」
「美しい。あまりにも好きだ」
「150年後も愛されるようにいっぱい行って少しでも貢献しよ」
「時かけの『未来で待ってる』を思い出した」
といった声が寄せられている。
「150年後もお待ちしています。」
未来に希望を感じる、何ともロマンあふれる一文だ。150年の間たくさんの人々を迎え、そして送り出し続けてきた東京国立博物館だからこそ生まれる重みが心地よい。
Jタウンネット記者はこの言葉に込められた思いを、東京国立博物館に聞いた。
かつて博物館を訪れた人たちの姿から
同館によれば、「150年後もお待ちしています。」は創立150年記念事業全体のキャッチコピーというわけではなく、「東京国立博物館創立150年記念キービジュアル(ポスタービジュアル)」に連動したコピー。
強いて言うのであれば「キャッチコピー」ではなく、「キーメッセージ」だという。
それを踏まえ、このキービジュアルの制作担当者は、メッセージが誕生した経緯、そしてそこにこめた思いを以下のように語った。
「キャッチコピーは、キービジュアルの写真から発想しました。
写真は、来館者が本館を訪れ、帰っていく様子をとらえた、1955年に撮影されたものです。
昔も、今も、未来も、人々が博物館を訪れ、帰っていきます。その連綿と続く営みを感じさせ、世代や時代が変化しても、文化の継承や交流の場として存在し続ける思いを込めました。
美術品、文化、場所は、人ひとりの人生を超える大きな時間の単位を持っています。
このビジュアルの写真に映っている人は、この世にいないかもしれませんが、その人の子や孫が、未来で同じ場所に立ち、同じ作品を見ているかもしれません。
誰が、または何が、このキャッチコピーをあなたに語りかけているのかを考えてみると、面白いかもしれません」
ちなみに、創立150年記念事業全体のキャッチコピーは、「新しい一歩を、あなたと」。
こちらも、未来に目を向けた明るく美しいフレーズだ。
2022年度の同館は、1年を通して様々な展示・イベント・グッズ展開などの企画が実施される。10月18日~12月11日には同館が所蔵する国宝89件すべてを含む名品や資料を展示する東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」も予定。これは150年の歴史の中で初めてのことだという。
「これらの企画は、文化財を次世代へと守り伝えてゆくために、『150年の歴史を振り返りながら、文化財の魅力や、博物館の楽しさを、より多くの方と分かち合いたい』という思いから生まれました。
多彩な企画を通して、これまで当館のことを知らなかった方、当館になじみの薄かった方も含め、ひとりでも多くの方に東京国立博物館のことをよく知っていただき、親しくご利用いただくきっかけとなってほしいと考えております」(東京国立博物館)
東京国立博物館と、そこに収蔵された品々は今日もあなたを待っている。150年前と同じように。そしてきっと、150年後も――。
(2022年6月22日13時編集部追記:記事初出時、事業の名称等に誤りがありましたので修正しました。)
なお、同館の辿ってきた歴史や記念事業のスケジュールなどは各公式サイトに掲載されている。
東京国立博物館ウェブサイト:https://www.tnm.jp/
東京国立博物館創立150年記念特設サイト:https://www.tnm.jp/150th/
東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」展覧会公式サイト:https://tohaku150th.jp/