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「塾からの帰りのバスで、最後の乗客になった私。後ろのドアから降りようとすると、運転手に手招きされて...」(東京都・20代女性)

井上 慧果

井上 慧果

2022.05.02 11:00
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シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Wさん(東京都・20代女性)

「私の生き方にいい影響を与えてくれました」

Wさんがそう振り返るのは、小学生のときに出会ったバスの運転手との出来事だ。

塾の帰り道、いつものようにテキストや参考書を読みながらバスに乗っていたWさん。しかし、その日の彼女の様子が普段とは違うことを運転手は察していた。

忘れられない運転手との出会い(画像はイメージ)
忘れられない運転手との出会い(画像はイメージ)

<Wさんの体験談>

小学4、5年生ぐらいの頃の話です。

中学受験のために、夜遅くまで塾で勉強してからバスで1時間かけて帰るという日が週に2、3回ありました。

通っていた塾は西日暮里にあり、今でこそ「日暮里舎人ライナー」が開通し、かなり便が良くなりましたが、当時はライナーを作る工事の真っ最中。工事のために車線規制されていたので、道がとにかく混んでおり、帰るのには普段の倍の時間がかかります。

そのため塾に行っている日は、いつも地元のバス停につくのが21時や22時を過ぎてしまうような生活でした。

「苦しいなぁ辛いなぁ」

時間がかかるだけでなく、私の地元からの公共交通機関はバスしかないので、車内は常に大混雑。

さらにそのころ、私は花粉症を発症し、驚くほどの鼻水と鼻詰まりに悩まされていました。

いつもバスの車中では塾のテキストや参考書を読んで過ごしていたのですが、花粉症の症状のせいで集中できず、「苦しいなぁ辛いなぁ」と思いながら乗っていました。

花粉症で苦しい思いをしていた(画像はイメージ)
花粉症で苦しい思いをしていた(画像はイメージ)

その日のバスも、乗車率120%ほどで押しつぶされるような感じ。

それでもだんだんとお客さんは減っていき、最寄りのバス停につく頃には、乗客は私ひとりになっていました。

降りる停留所が見えてきて、バスが止まったので席を立ち、後ろのドアから降りようとした時です。

運転手さんが

「こっちこっち」

と手招きしているのが見えました。

運転席に向かうと...

「なんだろう」と不思議に思いながら運転席に向かうと、 Suicaのキャラクターであるかわいいペンギンがプリントされたポケットティッシュを差し出されました。

ティッシュをくれた(画像はイメージ)
ティッシュをくれた(画像はイメージ)

運転手さんは

「花粉症なんでしょう?夜遅くまでお勉強していて大変なのに。これを使っていいよ。気をつけて帰るんだよ」

と言って、そのティッシュをくれたのでした。

あれから約20年。とても些細なこの出来事は、幼かった私にとって大きなサプライズで、未だにこの体験を昨日のことのように思い出します。それだけ、とても嬉しかったのです。

また、ティッシュ一つ・声掛け一つで幸せになれると知った私は、大人になった今、困っていると思った方に声をかけたり、励ましたりするのを積極的に行うようになりました。

あの運転手さんのお心遣いが、私の生き方にいい影響を与えてくれました。

あの時の運転手さん、ありがとう。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!

名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。

Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、エピソードを体験した時期・場所、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談の一部を改変している場合があります。あらかじめご了承ください)

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