品種名に「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」 不思議ネーミングのブロッコリー話題→販売元に由来を聞いた
とても礼儀正しい「ブロッコリー」があった――。
とあるユーザーのそんなつぶやきがツイッターで注目を集めている。
こちらがその話題のブロッコリー。見た目は普通、だが話題となっているのはその品種名だ。
その名も、「おはよう」。
販売元の種苗メーカー・株式会社サカタのタネ(神奈川県横浜市)では「おはよう」の他に「こんにちは」「こんばんは」という品種名のブロッコリーも取り扱っている。
このユニークな品種名に対し、ツイッターでは
「めっちゃいいやん こんにちは植えたい」
「違いがわからない」
「彼らに『いただきます』としか言ってない自分を恥じた」
など、さまざまな反応が寄せられている。
名前の由来は「084」
朝から晩までの挨拶をしっかりしていて確かにとても礼儀正しいが、いったい何を思ってブロッコリーにこんな名前をつけたのか。Jタウンネット記者は2022年3月29日、販売元のサカタのタネに聞いた。
サカタのタネによれば、同社では新品種が誕生した際、正式な名前がつく前は試作番号で呼ばれているそう。
「おはよう」の試作番号には「084」という数字が含まれていたため、それをもじって「おはよう」と呼ばれはじめ、その愛称が社内だけではなく産地にまで広がるほど親しまれて定着。そのまま正式な名前になったそうだ。
ブロッコリーは寒さにあたるとアントシアンという色素が発生し、花蕾(つぶつぶの部分)が紫色になってしまうことがある。「おはよう」はそれを防ぐために開発された「アントシアンフリー」シリーズの1種目で、のちに発表された同シリーズのブロッコリーはそれに倣い「こんにちは」「こんばんは」と名付けられたのだそう。
「おはよう」はタネまきから収穫までの期間が95日前後となる中早生品種、「こんにちは」は105~110日の中生品種、「こんばんは」は150日前後の晩生品種。
3品種はこの期間が異なるため、植える時期や肥料をやるタイミングなどは違うが、基本的な育て方は同じ。品種や栽培環境により多少の味の違いは出てくるものの、区別するのは困難だという。
もしかしたら、もう食べてるかも?
サカタのタネは、今回ブロッコリーの品種名が話題となってことについて
「野菜は、トマトやメロン、スイカなど実がなるもの以外は品種名で流通することが少なく、例えばブロッコリーであれば『おはよう』ではなく『ブロッコリー』としか表示されません。
そんな中、当社ブロッコリーの名前が話題となることは大変うれしく、また、実は野菜にはそれぞれ名前があり、皆さんにおいしい野菜を食べてもらいたい、と種苗会社が日々研究開発に励んでいることを知っていただければ幸甚です」
とコメント。
なお、同社はブロッコリーの種子で高いシェア率を持っているため「皆さん3回に2回は、実は当社のブロッコリーを召し上がっている計算になります」。
ということは、もしかすると今夜の食卓に並んでいるのは「おはよう」の可能性も......?
そう考えると、いつもの食事がちょっと楽しくなってくるかもしれない。