「初めての『1人でお買い物』は父への贈り物。消費税の概念知らず、小3の私はレジでパニックになり...」(東京都・30代女性)
「あと数十円だけ、足りない......!」
買い物をしていてそんな状況に陥ったことが、みなさん1回くらいはあるのではなかろうか。
東京都在住のJタウンネット読者・Eさん(30代女性)にそのピンチが訪れたのは、初めてひとりで買い物をしようとしたときだった。
その時Eさんは小学校3年生。父へのプレゼントを購入するために、千円札を1枚だけ持って買い物にいった。
お店でちょうど1000円の品物を見つけ、レジに向かう。そこに表示された金額は「1030円」。
彼女は消費税(当時は3%)のことなんて、まだ知らなかったのだ。代金が払えない――そう分かったEさんは大パニックに陥ってしまったという。
1000円のものは1000円では買えない
私が小学校3年生のときのことです。もうすぐ父の日だったので、私はお年玉の中から千円札1枚を取り出し、近所のショッピングセンターまで父へのプレゼントを買いに行きました。
サプライズプレゼントも、自分のお金での買い物も、自分1人だけでレジに並ぶことも全てが初めてだった私は、ドキドキしつつも父の喜ぶ顔が見たくて一生懸命品物を選びました。
散々迷った末に、「毎日スーツを着て仕事へ行くお父さんには、これがピッタリだ!」と、白いワイシャツを選びました。値段も1000円ちょうどで予算ぴったり。
良いプレゼントが見つかった、と意気揚々とレジに向かった私は、レジのお姉さんに「プレゼントにしたいんですけど...」と告げ、1000円札をトレイに置きました。
手際よくリボンをかけるお姉さん。そしてレジに表示された金額は......なんと1030円。
そうです。1000円のものは1000円では買えないのです。
当時は3パーセントの消費税が導入されて間もないころでしたし、そんなことを知る由もない私は、「30円なんて持ってない...」と大パニック。レジのお姉さんも困った顔をしていました。
「どうぞ使って」
その時、後ろからすっと手が伸びてきて、30円が私の1000円札の上に置かれました。
振り返ると、私の後に並んでいた上品そうな御婦人が
「どうぞ使って」
とにっこり微笑んでくれたのです。
私と店員さんのやり取りと、父の日フェアをやっているお店でワイシャツを買う小学生の女の子を見て、その御婦人は全てを察したのでしょう。
あの時、あまりのパニックでお礼をきちんと言えたかも記憶にありません。でも御婦人がそっと差し出してくれた優しさは、30年近く経った今でもしっかりと私の中に残っています。
あの御婦人を思い出すたびに、私も他人に優しくなれている気がします。
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