ラーメン屋の夫婦が何かを察した様子で...
30年前の冬のことです。私が長野の大学に通っていたころ、祖父の訃報があり、夜に羽田空港まで向かいました。
ところが、飛行機は満席。キャンセル待ちしましたが乗れず、空港も閉鎖され......途方に暮れ近くの街まで歩き、翌朝まで野宿しようとしました。
しかしあまりにも寒くお腹も減り、閉店間際のラーメン屋さんに入りました。
ご夫婦で営まれている店のようでした。彼らは私を見て何か察したのか、
「お兄さん、見ない顔だね。遅くにカバン持って」
と、声をかけてくれたのです。