「祖父の訃報を受け取った冬の日、故郷に帰れなかった私。ふらりと入ったラーメン屋で出会ったのは...」(北海道・50代男性)
人に親切にするのは良いことだとわかってはいるが、どこまでが「親切」でどこからが「お節介」なのか、相手との距離感は非常に難しい。
北海道在住のDさん(50代男性)からJタウンネットに届いたのは、大学時代に出会ったあるラーメン屋の夫婦との思い出だ。
当時、長野に住んでいた彼は冬のある日、北海道の祖父の訃報を受け取る。
葬儀のために北海道へ帰ろうとしたが、急なことなので飛行機は満席。キャンセル待ちをしたがその日は結局、どこに向かうこともできなかった。
夜、空港は閉まり、野宿を覚悟したDさん。
そんなところに、ほどよい距離感でさりげなく手が差し伸べられ――心身ともに疲れていたDさんが救われたエピソードを、いっしょに見てみよう。
ラーメン屋の夫婦が何かを察した様子で...
30年前の冬のことです。私が長野の大学に通っていたころ、祖父の訃報があり、夜に羽田空港まで向かいました。
ところが、飛行機は満席。キャンセル待ちしましたが乗れず、空港も閉鎖され......途方に暮れ近くの街まで歩き、翌朝まで野宿しようとしました。
しかしあまりにも寒くお腹も減り、閉店間際のラーメン屋さんに入りました。
ご夫婦で営まれている店のようでした。彼らは私を見て何か察したのか、
「お兄さん、見ない顔だね。遅くにカバン持って」
と、声をかけてくれたのです。
「タクシー乗って帰るから、待ってて」
事情を話すと、「うちの店、通いでタクシー乗って帰るから待ってて」と、一言。
店を閉めた後、一緒にタクシーに乗せてくれました。そして、ある場所に連れて行ってもらったのです。
「ここのサウナ安いし、24時間だから」
彼らはそう言うと、私の分もタクシー代を払ってすぐに去っていきました。
私はそこで体を温め、仮眠をとり、翌朝には無事に飛行機で北海道まで帰省しました。祖父の葬儀にも間に合いました。
あのラーメン屋さんのご夫婦には感謝しきれません。
お礼も言えないまま、30年が経過しました。おふたりはまだラーメン屋さんを営んでいるのか、ふと思い出す今日この頃です。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
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