観音様は銃を構え、諸葛孔明は曲芸を披露 江戸時代に書かれた絵に、ツッコミどころが多すぎる
目指したのは、気軽にみて笑ってもらえるような展示
福岡市美術館は、福岡市中央区の大濠公園内に位置する市立美術館で、1979年に開館した。赤茶色の磁器質タイルで覆われた、外から見るとシンプルな建物は、日本近代建築の巨匠・前川國男氏が設計したものだ。
同館では、2021年9月14日から「遊びと笑いの日本美術」というコレクション展が開催されている。
前述の「スナイパー観音」はその展示作品の一つ「異代同戯図巻」(福岡市美術館所蔵)の一部。描いたのは、江戸時代前期の絵師・狩野昌運だ。
この作品と企画展について、Jタウンネット記者の取材に応じたのは、福岡市美術館の学芸員である宮田太樹さんだった。
今回の「遊びと笑いの日本美術」という企画は、どんなきっかけから生まれたのだろう。
「今話題になっている観音が描かれている『異代同戯図巻』は例年のコレクション展でも紹介していたのですが、広げると13メートルを越えるので全部の場面を展示することができませんでした。この絵巻を全部広げて、すみずみまで皆さんに楽しんでいただきたいというのが動機です」
「当館ではキングダム展を開催し(9月26日まで)、多数のマンガファンも来場されております。こうした方々にも古い美術作品の魅力に触れてほしいと思いました」(学芸員・宮田太樹さん)
マンガ好きな人にも、古美術をより親しみやすく紹介したい、という想いが強かったようだ。「美術館はどうしても敷居が高いイメージを持たれがちなので、気軽にみて笑ってもらえるような展示を作りたいと思いました」と宮田さんは語った。