転ぶと柔らかくなる床に、手ぶらで使えるナビシステム... 広島で、新しい時代が始まりつつあった
転ぶと柔らかくなる床
静岡県浜松市に本社を構える「マジックシールズ」は、「コロナ禍での地域医療のレジリエンス強化」をテーマに転んだ時だけ柔らかい床「ころやわ」を開発している。
20年11月13日、スポーツ庁は新型コロナウイルスによる高齢者の「健康二次被害」を予防するためのガイドラインを発表した。人との接触を避け、外出を自粛することが「筋量・筋肉の低下」「歩行速度の低下」「認知機能の低下」に繋がっているという。これが、転倒や骨折などの問題に発展する。
マジックシールズの事業計画情報によると、骨折リスクの高い高齢者は「骨折を恐れて本人が歩かない」「本人のために周囲の人も歩かせない」ために、心身が衰弱していく負のスパイラルに陥っている。そんな中、同社は「ころやわ」で「すべての人が骨折を気にすることなく、自分の意志で自由に動ける社会」を目指している。
こちらが、その「ころやわ」を敷いた床。歩いてみた感覚では、フローリングのようには硬くないが、「やわらかい」というほどでもない。人を乗せた車いすのタイヤも沈み込むことなく、難なく移動できる。
しかし、試しに「ドン!」とやってみると......。
確かに、やわらかくなった!
フローリングと比べると「ころやわ」は、歩行からの転倒時の衝撃を約半分にまで抑えるという。ただ柔らかいだけだと高齢者が転倒しやすくなってしまうが、普段は硬いのでその問題もない。マットのように一部に敷くことも、床全面に設置することもできる。
必ずしも骨折を防げるというわけではもちろんないが、そのリスクが少しでも軽減されれば、高齢者にとっても、彼らをサポートする家族・看護師・介護士にとっても、安心して過ごせる時間が増えそうだ。
ご紹介した2つのアイデアの他にも、自動走行型配達ロボットを活用したスーパーの商品配達(Yper社)や、遠隔地から眼科医への相談ができるサービス(MITAS Medical社)、害獣として捕獲されたあと破棄されているシカやイノシシをキャットフードにする事業(nyans社)など、いろいろなテーマのプロジェクトが進められていた。
広島で始まりつつある「新しい時代」。我々の生活をどんなふうに変えてくれるのか、これからも注目していきたい。