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転ぶと柔らかくなる床に、手ぶらで使えるナビシステム... 広島で、新しい時代が始まりつつあった

横田 絢

横田 絢

2021.10.01 20:00
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足から伝わるナビゲーション

広島県は「イノベーション立県」を掲げ、実証実験プロジェクト「ひろしまサンドボックス」を進めている。2020年秋、その中の事業の一つ「D-EGGS PROJECT」が始動した。新型コロナウイルス感染症の拡大によりあらわになった課題、これから顕在化するだろう課題を解決する「卵」を、デジタル技術を駆使して生み出そうというものだ。

さまざまなテーマのもと、29社+高専枠1件がそれぞれのアイデアを形にするため、広島で開発・実証を進めている。この30件は、全国から集まった391件の応募から、厳正な審査の上で採択されたものだ。

2日の体験会には、その中から「D-EGGS PROJECT」事務局が注目する8社が参加。それぞれのサービスやプロトタイプを披露した。

記者が特に気になったのは、「モビリティの自動化・パーソナル化」というテーマの下で開発を行う「Ashirase」のプロダクト「あしらせ」。世界初の振動デバイスを用いた視覚障害者向けの歩行ナビシステムだ。

「あしらせ」を装着したスニーカーと、「あしらせ」本体。
「あしらせ」を装着したスニーカーと、「あしらせ」本体。

靴に装着したデバイスが振動することで視覚障害者に進むべき方向をしらせるもので、日本版GPS「みちびき」を使って得た正確な位置情報を利用。スマートフォンアプリで目的地を設定すると、「まっすぐ進む」「停止する」「右折する」など指示を、振動する部位とテンポで使用者に直感的に伝える。

専用のシューズなどは必要なく、履きなれた靴でナビしてもらえるのも魅力的だ(形状によっては装着できない靴もある)。

革靴にも装着可能
革靴にも装着可能

誘導に「振動」を使うのは、利用者がより安全に移動するためだ。音声によるナビゲーションでは、視覚障害者が周囲の情報を把握するのに重要な聴覚を妨げてしまう。これによって安全の確認が困難になっているそう。「あしらせ」は耳だけでなく、杖を使う手、点字ブロックなどを感じる足裏からの情報収集も阻害せず、安全確認に集中しながら目的地に向かえるという。

Ashiraseの事業計画情報によると、コロナ禍によって、ガイドヘルパーなどによる「密」にならざるを得ないサポートは難しくなっている。そんな中、一人で移動することのハードルを下げる「あしらせ」は、視覚障害者の生活をより豊かにすることができそうだ。

転ぶと柔らかくなる床
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