人工知能は「長年の経験と勘」の代わりになるか? レモンの名産地・広島で、未来を変える挑戦
2021.08.25 12:00
提供元:広島県
レモン「AI判定装置」の成果に、注目した人がいた!
レモンの「AI判定装置」の成果を聞きつけた広島県商工労働局イノベーション推進チームが、同チームの主導するAI人材育成プロジェクト「ひろしまQuest」(※)との親和性の高さに注目したのだ。
(※)ひろしまQuestは、日本最大級のデータサイエンスプラットフォームを手掛ける企業「SIGNATE」とのコラボレーションでおこなわれているプロジェクト。
参加者同士が与えられた課題に対するデータの予測精度を競い合う「データ分析コンペティション」や、AI学習のための「eラーニング」「ハンズオン講習会」などを実施。
というのも、真鍋さんがおこなっていた「AIによる等級判定の精度を上げる」作業は、「AI予測モデルの作成」と呼ばれるもの。
専門家であるデータサイエンティストたちは、なんらかのテーマ(問題)のもと、AI予測モデルを開発するため、あるいはその精度を上げるため、仕事として、またはデータ分析コンペティションの場に参加して、日々挑戦を続けている。
そして、「レモンの等級判定」のテーマはまさしく、ひろしまQuest主催のデータ分析コンペティションに、ぴったりな「問題」でもあった。
そこで、2021年2月から3月にかけて、「画像データを使ったレモンの外観分類AI開発コンペティション」がおこなわれることになる。通称、「レモンコンペ」だ。
広島県と協働して主催するSIGNATEのシニアデータサイエンティスト・高田朋貴さんは、レモンコンペのねらいについて次のように説明する。
「データ分析の世界では『問題』の解き方は無数にあり、どれがよいかは試してみないとわからないことがほとんどであるため、さまざまな角度から試してみることが重要です。
コンペは多くの人が知恵を絞り、競い合うことにより、たくさんの分析が行われますので、AIの判定精度を高める最もよい解き方を見つける手段として大変有効です。レモンコンペは、生きた地域課題の解決にお役立ちできる教材としても、ぴったりなものでした」(高田さん)
呼びかけに応じて、初心者からベテランまで、最終的に800人近くが参加した。
参加者は、「AI予測モデル」を作成後、コンペ専用サイトに投稿する。期間中、1日3回を上限に、何度も投稿することが可能で、全部で6000件近いモデルが集まった。
データ分析コンペには、常連も多い。優勝者の米田信之さんもその一人だった。
「これまで、仲間や個人で、SIGNATEなどのデータ分析コンペに参加していました。
なかでも画像を扱うテーマに興味があり、いつか自分ならではのアプローチというか、アイデアをカタチにしたいな、とも思っていて。それが高じて、AIに関する外部講座や資格試験などにも挑戦し、次の腕試しにと参加したのがレモンコンペでした。
学んだことを生かせる場になりそうだ、とワクワクしました」(米田さん)