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まるで宝探し? ウィキペディアに「なかったページ」を作るウィキペディアンの楽しさとは

福田 週人

福田 週人

2021.05.05 08:00
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「なかったの記事」のつくり方

では、実際にどのようにして記事を作っていったのだろうか。改めて海獺さんにその手順を訊いてみた。

「百科事典なので、レシピは二の次だと思いました。誰のレシピを記載するかという難しさもあるのです。
今回はまずネットでアジフライの起源になりそうな記述を片っ端から探しました。それとともにアジフライの百科事典記事にはどんな見出しがあると面白いかを考えました。
題材がポピュラーなので、見出しを作っておけばそれにインスパイアされてイメージが湧き、いろいろな人が編集参加してくれるだろうと思ったのです」(海獺さん)

参考文献に関しては、国会図書館の検索やグーグルブックスなどでアジフライを検索してあたりをつけていったという海獺さん。このほか、味の素食の文化センター(東京都高輪)の図書館も二回ほど訪れ、司書にレファレンスの依頼もしたとのことだ。

ネット&図書館で調査(画像はイメージ)
ネット&図書館で調査(画像はイメージ)

ウィキペディアの履歴表示から、海獺さんが作成した当初の「アジフライ」の記事を見てみると、その目次は、

「歴史」
「調理法」
「栄養素」
「バリエーション」
「聖地」
「小売商品」
「そのほか」
「脚注」
「参考文献」

の9つの見出しがあり、例えば栄養素の項目では、「ほかのフライ料理と比較して低糖質で低カロリーと言われている」などといったことが書かれていた。

脚注や参考文献には様々な記載の情報源として、様々な企業や自治体のウェブサイトや、ウェブメディアや新聞の記事、書籍などのタイトルが並ぶ。

それにどんどん他のウィキペディアンの手が加わり、表現が修正されたり、画像が追加されたり、注釈や出典、参考文献が増えたりして、内容が充実していっている。

4月30日時点の版では、「バリエーション」が「調理法」の中に入れ込まれ、代わりに新たに「味・食感」や「中食・外食として」といった項目が作られるなどの変更が。

また、同じ項目でも、例えば初版の「歴史」では「明治後期から大正にかけてフライは家庭でも作る料理として浸透した」と表現されるにとどまっていたところ、30日時点の版では、

「アジフライの調理に必要なパン粉は、1916年(大正5年)に日本で初めて商品化された。第二次世界大戦後の食糧難に際して電気パンの技術が転用されてパン粉の大量生産が可能となり、1955年(昭和30年)の学校給食にもアジフライが採用されている。
その後、アジフライは日本国内で家庭料理として広く普及し、おかずだけでなく、おやつ、酒の肴などとして親しまれ、さらには離乳食完了期(1歳から1歳半)のレシピとしても挙げられている」

と、より詳しい情報が記載されている。

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