「水と米とくれば、お酒でしょ」 酒米栽培、新天地での酒造り...初挑戦づくしの「東川の日本酒」ができるまで
「彗星」と「きたしずく」を飲んでみた
東川町で作られた日本酒、「彗星」「きたしずく」はどんな味なのだろうか。Jタウンネット編集部では2種を取り寄せ、飲み比べてみた。
こちらの「彗星」と「きたしずく」はそれぞれ精米歩合55%で、アルコール度数は15度。東川町オリジナルデザインのボトルは、真っ白な雪の大地を想起させる。
「彗星」のフタを開けると、ふわりと甘い香りが漂う。水のように軽い口当たりで、ぐいぐい飲めそうだが、じわじわと酔いが回るのを感じる。これは飲みすぎ注意...かもしれない。
対して「きたしずく」は、アルコールがしっかり感じられ、編集部員(20代女性)からは「どんな料理にも合いそう」との声。さっぱりとした後味で、こちらも非常においしい。
なかでも酒好きの部員(20代男性)は、
「僕は数ある日本酒を飲んできましたが、どちらもすごくおいしいですね。北海道の魚がつまみに欲しくなります」
と好評価。東川生まれの酒を、北海道グルメをつまみながら飲む――それはまた、格別な味になることだろう。
東川町の酒造りは今後、どのように発展していくのだろうか。酒米生産者の牧さんは次のように語っている。
「東川町は水と米のおいしさをPRしてきた町なので、『水と米とくれば、お酒でしょ』という共通の想いは、みんなどこかであったと思います。 そして今回、三千櫻さんが東川に来て、念願叶って酒蔵ができました。これは町の特産品や、米のブランド価値を上げられるチャンスだと思っています」(牧さん)
道の駅や町内の販売店では、まだ販売数量が少ないこともあって、三千櫻酒造の日本酒はあっという間に売り切れる状況だ。
それだけ評価が高いということだが、そもそもの狙いは地元の人に愛され、地元の人に飲んでもらえる日本酒を作ること。
そのため、地元でしっかり飲めるような製造・販売計画を三千櫻酒造と東川町で連携して構築していく必要がある、と町の担当者は話す。
将来的には、酒蔵を観光施設として活用する酒蔵ツーリズムや、日本酒造りを短期間で学ぶプログラムの展開、日本酒の海外輸出などを見据える東川町。
日本酒以外でも、すでにワインの醸造や地元民によるクラフトビールのプロデュースが行われ、ふるさと納税の返礼品にも登録されている。さらに今後はジンの醸造所を建設する計画もあり、東川町は「酒の町」としての基盤を固めつつある。
東川の地で酒巡りを楽しむ日もそう遠くはないのかもしれない――そんな未来に思いを馳せながら、あなたも一杯飲んでみてはいかがだろうか。
<企画編集・Jタウンネット>