東尋坊って崖だけでしょ?→誤解です ドローン遊覧飛行に隠れザウルス...あなたの知らない「福井の魅力」教えます
遊覧船に乗っていると...「恐竜」に遭遇!
筆者は東京駅から北陸新幹線に乗って金沢駅へと向かった。
そこから福井方面行きの特急しらさぎに乗車し、芦原温泉駅で降車。あの断崖絶壁を目指すべく、車を20分ほど走らせた。駐車場に車を停め、海鮮グルメやお土産処が立ち並ぶ「東尋坊商店街」を歩いていると、じんわりと汗が滲んできた。天気は良好で、ジリジリと太陽が照っていた。
筆者が東尋坊を訪れたのは、2020年夏のある日のことだ。
前へ足を進めると、潮風が。暑さを吹き飛ばすように、筆者の眼に深い青色の海が姿を見せた。
ゴツゴツとした岩場...、まさにイメージ通りの東尋坊だ。
横幅約1キロに渡って柱状節理と呼ばれる岩々が続き、その断崖絶壁は「世界三大絶勝」の1つに数えられている。また、国の名勝・天然記念物にも指定されているのだ。
岩先に人の影が見えるだろう。そう、東尋坊には手すりなどはなく、まさに「崖っぷち」まで進むことができるのだ。
筆者も、崖の先を見ようとポンポンと岩肌を蹴って先端を目指した。
岩の先端に日本海の荒波があたり、白波が立つ様を見たかったのだが、腰が引けてしまって真下まで覗きこめなかった。
岩壁を覗きたく、写真を数枚撮っていると筆者の耳元に
「サスペンスドラマのロケ地としても知られる東尋坊。その絶壁を下から覗いてみましょう」
といったアナウンスが聞こえてきた。
下から「崖」を見たい人にオススメなのが、東尋坊の近くの島や岩々を周遊する「東尋坊観光遊覧船」である。
クルージングを楽しみながら、絶景を楽しむことができる。案内をしてくれたのは、同社代表取締役社長・阪本浩三(55)さんだ。
ここで遊覧船に乗って約30年。そんな彼が語る東尋坊の魅力は、上からではなく、船から見える柱状節理と岩々の美しさだ。
「世界的にも地質学的にも珍しいモノで、直に目にすることが出来る体験は遊覧船ならではです」
彼が指さす先には、岸壁沿いに停泊した遊覧船があった。一般料金は大人1500円、子供750円で所要時間は約30分だ。
東尋坊の船乗り場を出航し、向かった先は日本海の荒波によって形成された岩々である。
船からは、ライオンに似ている岩や巨大なハチの巣といったユニークな岩を見ることができる。
ライオンやロウソクをモチーフに名付けられた岩が姿を見せた。ハチの巣岩は、見たまま巣と分かるだろう。ライオン岩には、画面中央に右を向いた「ライオン」がいる。
そして、福井県ならではの岩もある。発見されたのは2017年春で、比較的新しい。みなさん、何に見えるか分かるだろうか。
奥まった岩壁。その中央部分に注目してみて欲しい。福井県といえば...、恐竜だ。
阪本さんが話すには、東尋坊の新たな魅力を探そうと岩壁をめぐっていたところ、ある従業員が見つけたモノのようで...。その名も「隠れザウルス」である。
従業員から「恐竜に見えるところがある」と聞いたときは、阪本さんも驚いたそうだ。
「風貌が恐竜にそっくりですよね(笑)。『隠れザウルス』目当てで遊覧船に乗られるお客さんも多いですよ」
岩場から見える景色も迫力満点だが、下から見ても迫力がある東尋坊。まさか東尋坊で「恐竜」に会えるとは、なんだか得した気分だ。
クルージングの終わりには「大池」と呼ばれる高さ約23メートルの岩肌間近まで船が近づいた。
筆者が「がけっぷちTシャツ」を着衣しながら、覗き込もうとした場所の真下の様子である。これぞ柱状節理である。どこか規則的に並んだ岩肌は、カメラに収まりきらないほど広大であった。
「東尋坊は上から見ても、下から見ても迫力がありましたでしょ」
と阪本さん。この東尋坊、もっと上から見たら、もっと違う光景が広がっているのではないだろうか。