手を伸ばせば触れそう? 関ケ原で目撃された「過去最高に低い虹」が話題
「関ケ原は虹が低い」
まるでファンタジー小説のはじまりかのようなフレーズだが、現実の光景を描写した言葉だ。どんな虹なのか、写真をご覧いただこう。
山の手前、民家の上に浮かぶ虹色。確かに低い。しかも、弧を描くのではなく、横にまっすぐ広がっているような不思議な虹だ。
この写真を投稿したのは、関ケ原CoffeeStand(岐阜県不破郡)のツイッターアカウント。関ケ原の戦いで、石田三成が陣を布いた笹尾山の近くにある笹尾山交流館内のカフェだ。
投稿者によると、関ケ原では度々低い位置にかかる虹を見ているが、これが「過去最高に低い」虹。2020年1月31日に投稿された写真を見たユーザーは、
「すごい!この虹には手が届きそうですね!」
「背の高いひとやったら触れるんちゃうか」
「地底都市用の虹なんだろうなー」
など低い場所で広がる虹に驚き、様々な想像を巡らせていた。
Jタウンネット編集部が投稿者に詳細を聞いたところ、福島政則陣跡付近に低い虹がかかったり、本多忠勝の陣跡が虹の麓になっていたりすることもあるようで、関ケ原ならではのロマンもたっぷりだ。
低い虹が現れる条件は...
このような「低い虹」はどのような条件で現れるのだろうか。
気象庁気象研究所の研究官で、雲研究者の荒木健太郎さんの著書「雲を愛する技術」(光文社新書)や「世界でいちばん素敵な雲の教室」(三才ブックス)によると、虹は太陽と反対側の空で雨が降っていて、そこに太陽光がさしているときに発生する。
そしてその姿は、太陽高度によって変わるそうだ。
虹は、太陽が低いほど半円に近くなり、高い位置にあると円の上部だけの虹が、地平線付近に現れるのだという。つまり、「低い虹」は太陽の高度が高い日中に現れるということだ。
「雲を愛する技術」には、太陽が高いときの虹の例として、沖縄県嘉手納町で撮影された写真が掲載されている。関ケ原で撮影された写真と同様、横にまっすぐ広がるような形だ。
低い虹自体は関ケ原特有というわけではないようだが、やはり虹と聞くと大きなアーチ状の姿を想像してしまう。関ケ原の写真にも「見たことがない」といった反応が多かった。
これは我々が日中に屋外を観察することがあまりないと言うことを示しているのだろうか......。
「日が高い時には低いところに虹がかかることがある」。このことを心にとめて、虹が出そうな日のお昼には、休憩がてら不思議な虹を探して散歩してみるのもいいかもしれない。