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高齢化、経営不振、後継者不足... 消えゆく大衆浴場を救う「銭湯代行業」とは

笹木 萌

笹木 萌

2019.12.28 11:00
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入浴以外のサービスを新たな収益源に

Jタウンネットは12月13日、現在リニューアルオープンに向けて準備を進めている東京浴場に足を運んだ。

休業してから半年ほどたった銭湯は以前の姿を残したまま。しかし所々に機材が置かれ、パイプがむき出しになった床を見ると、一つの時代を終えたことを実感する。

番台。ここでお客さんを出迎えていた
番台。ここでお客さんを出迎えていた

ニコニコ温泉の広報を担当する田川あす美さんによると、SNSで「誰か引き継いでくれないか」との声があったことから、東京浴場の運営を引継ぐことを決めた。店子と同じように大家に家賃を払い、銭湯をやっていくという。

銭湯代行の事業を始めたのは2016年から。グループ会社の「伊豆高原ビール株式会社」より出資をうけ、廃業や休業を余儀なくされる銭湯の経営・運営を引き継いでいる。「銭湯はコヂンマリとしており楽しそうで、儲かりそう」と思ったことが事業開始のきっかけだという

更衣室。昭和の面影が色濃く残る
更衣室。昭和の面影が色濃く残る

引き継ぐといっても、以前の姿そのままで運営するということではない。ビジネスとして収益を上げるため、外観・内観ともに大きく手を加える。

例えば、すでにリニューアルオープンした「富士見湯」では、営業時間を拡大するほか、

・浴場壁画を明るくポップなものに変更
・ロビーに漫画7000冊を置き、読み放題に
・オモチャをたくさん入れたお風呂で子連れ客を誘致
・寝転べる有料休憩スペースの設置

といった取り組みを行った。銭湯の枠を超え、「漫画喫茶」に近い改造だが、これにより来客は増加。引継ぎ前は平日客数80人程度の赤字銭湯だったが、現在は平日350人、土日祝は550人が足を運ぶようになり、黒字経営を実現している。

「組合に属する銭湯は物価統制により入浴の価格を自社で上げることが出来ません。よって入浴以外のサービスにより新たな収益源をつくることを目的に、銭湯とマンガやアニメ等、サブカルチャーと掛け合わせた事業にチャレンジをしています」

廃業の話題の尽きない銭湯を、現代にも通用するビジネスモデルとして確立させたい――田川さんは既存の客層に加え、20代、30代の若い世代を取り込みたいと意気込む。富士見湯ではその目論見通り、若い客層がぐっと増えたそうだ。

工事前の準備に悪戦苦闘
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