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なぜ神戸は「8時間労働発祥の地」となったのか その意外な歴史を調べてみた

井上 祐亮

井上 祐亮

2019.11.22 10:00
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昔は10時間以上働いていた

記念碑は、兵庫県神戸市の神戸ハーバーランドに設置されている。ここが8時間労働発祥の地となった理由は、何なのだろうか。

神戸市役所公式サイトの「神戸を知る」というページには、この記念碑について次のような歴史が書かれている。

「大正8年(1919)9月半ばに、川崎造船所(編注・神戸市)の本社工場の労働者たちは、賃上げや賞与支給などの労働条件の改善を求めた要求を会社側に出しました。

しかし、これに対して当時の同社の社長松方幸次郎が、職工の中心的な要求に確定的な回答を与えなかったため、これを不満とした職工たちが同月18日からサボタージュ闘争をおこないました。

争議はほぼ10日間続きましたが、松方が8時間労働制の採用と戦時の歩増分の本給繰り入れなどを提示したため9月27日に解決しました。10月より兵庫分工場、葺合(ふきあい)分工場、ついで本社工場において8時間労働制が実施されました」

1947年に労働基準法によって「8時間を超えて労働させてはならない」と制定されるより30年近く前に、労働者の争議によって「8時間」を獲得することができたのだ。

こうした出来事があった旧川崎造船所跡を臨むハーバーランド内に、「8時間労働発祥」を記念する碑が建てられたというわけだ。

記念碑を建てた一般社団法人兵庫労働基準連合会の担当者は、Jタウンネットの取材に

「松方さんは、10時間から12時間労働が当たり前だった時代に8時間制にするということを労働者と話し合いました」

と答える。この功績を残すため、記念碑の設立に至ったのだろうか。

「1992年の秋頃から1週40時間制が法定労働時間の原則になろうとしていた当時、労働時間短縮の原点である8時間労働制が神戸の地において日本で最初に組織的に実施されたことを記念する何らかのものを残してはどうかという機運が生じてきました」

記念碑は1993年11月に設置された。

確かに1週40時間制とは、1988年の改正労働基準法の施行から変わったものだ。世の中は確実に「時短」に向かっている。労働者が争議を起こし、仮に6時間労働を勝ち取れば、いつの日か「6時間労働発祥の地」の記念碑が誕生するかもしれない。

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