灯りのない深夜、神輿をぶん回す男たち... 謎だらけ「暗闇の奇祭」のルーツに迫る
なぜ真っ暗なのか、聞いてみた
それにしても、なぜ暗闇でおこなわれるのだろうか。ネット上では「夜這い」が元となっているのではないかという情報も散見されるが、2019年5月27日に宇治市歴史資料館に確認してみると「今となってはよくわからない部分もあります」との回答だ。
県神社の宮司である田鍬到一さんは、暗闇で行われる理由について「一種のタブーだから、古い形式でやっています」と意味深に話す。
県祭りが行われるのは、新暦だと6月5日、旧暦だと5月5日。このころは茶摘みが終わってお茶が出そろう季節だったといい、田鍬さんは「(県祭りが)にぎやかになる一つの要素であったことは間違いないです」という。
県神社の場合、5日の朝御饌の儀、夕御饌の儀を経て、本殿で神移しという儀式を行ってから出発する。60人ほどの男性に担がれた梵天は旧大幣殿前でぶん回しや横振りを披露、その後は境内に戻り、6日深夜1時頃に還幸祭を終える。
梵天は境内にある「梵天奉納所」にある。5月下旬ごろに毎年作り直しているといい、使用する御幣(紙のようなもの)はおよそ1600枚。1年間奉ったあとは、焚き上げているという。
独特の雰囲気を楽しめる「暗夜の奇祭」、ぜひ足を運んでみては。