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決して鳴らない「石の鐘」、77年吊るす寺 戦中の「代替梵鐘」に込めた住職の思い

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2019.02.24 17:00
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「梵鐘記念 昭和十七年十月」

鳴らない石の鐘。以下画像は信州しなの町観光協会公式サイトより
鳴らない石の鐘。以下画像は信州しなの町観光協会公式サイトより

「梵鐘記念 昭和十七年十月」

石の鐘にはそんな刻銘がされている。1942年(昭和17年)の10月から77年近く吊るし続けられていることになる。Jタウンネット編集部は2019年2月21日、信州しなの町観光協会に問い合わせたところ、

「普通は降ろしてしまうので、やはり思いを持って吊るし続けているのだと思います」

と担当者。数年前まではイベントや終戦記念日の際に取り上げられ、話題になっていたが、最近は「忘れ去られているところもある」という。春には見事なしだれ桜が花を咲かせ、美しい写真を撮ることもできる。

称名寺のしだれ桜
称名寺のしだれ桜

称名寺の住職は佐々木五七子(いなこ)さん。

15年7月10日の信濃毎日新聞の報道によれば、鐘楼から鐘がなくなった1942年の10月1日は、佐々木さんが当時13歳だった頃だという。終戦後に住民から金属の鐘に戻すよう何度も頼まれたが、「戦争の悲惨さ、愚かさの証」として新調せずに残し続けたそうだ。

まもなく90歳を迎えることになる佐々木さん。過去に以下のような言葉を残している。

「いま世の中は平和ですか?平和ではありませんね。こうしているあいだにも、戦車や爆撃による殺し合いでなんの罪もない子どもや老人、赤ちゃんまでもが亡くなっています。そういう戦争がなくなったら、石の鐘は下げてとりかえましょう」(信州しなの町観光協会公式サイトより引用)

どうかこれからも元気に、石の鐘に託された思いを伝え続けてほしい。

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