加熱式タバコ「においが少ない」のはなぜ? 紙巻きとの差、臭気判定士と「実験」してみた
データで測定
実際に煙の臭気を測定してみる。「検体」は普段から喫煙しているJタウンネット記者2人だ。1人は生粋の紙巻き派。もう1人は 高温加熱式で吸いごたえがあると言われる「glo(グロー)」と、加熱式タバコのなかでも低温加熱方式で、 「ニオイが少ない」ことを謳い文句にしている「Ploom TECH(プルーム・テック)」を気分によって吸い分けているという加熱式派だ。
まずは、紙巻きの臭気を測定。松林さん持参の測定器「ニオイセンサーPOLFA」を用い、「PF値」という指標で、単純にニオイとしての強さを測っていく(臭気の性質や成分は関係なく、強さのみを数値化できるという)。
まずは、紙巻き派の記者から。吸う前の衣服のPF値は320前後で、日常生活では「何かのニオイがある」と感じる程度の臭気。しかし、タバコを一服するその煙を測ってみると......
なんと、煙の測定値は最大で664を記録。松林さん曰く、これは相当な強さで、例えるならば「夏場の腐った生ゴミと同じくらいの強さ」。1メートルほど離れたところで計測しても380を記録。これもまた、強めのニオイだ。
では、加熱式タバコの場合はどうか。今回は、プルーム・テックを使って計測してみる。「ニオイ が少ない」というその実力はいかに。
プルーム・テックを吸った呼気を測ってみると、こちらは吸っている最中の状態で、口元に機械を近づけて測ってみても最大で460 。最大値だけみても紙巻きタバコの664とはかなり強さが違う。これはあくまで最大値で、ちょっと時間が経つとすぐ拡散してニオイは弱まる。
この時はカフェモカのフレーバーを使っていたので、記者(非喫煙者)も嗅いでみると、ヤニ臭さは全くなく、代わりに紅茶のようなニオイを感じた。フレーバーがなかったらほとんどニオイがしなさそうな印象すら受けた。衣服を測定してみても300~320前後で、ほとんど非喫煙時と変わらない。
松林さんも「紙巻きタバコと違って燃やす煙ではないので、屋内にまとわりつくヤニや、アセトアルデヒド系の強い臭気を放つ物質は出ないようです」と解説。一方、紙巻きタバコを吸った記者の方は吸い終えて10分ほど経った呼気を測ってみても340~360という数値 を記録。同じタバコでもずいぶん違うことが数値でも理解できた。
今回は屋外で測定したが、屋内で試せばより強烈に紙巻きタバコの煙が残り、紙巻きと加熱式で対照的な結果になるだろうとのことである。とはいえ、屋外であってもこれだけ数字に差が出るとは、驚きだ。
非喫煙者から見るとあまり変わらないように思っていたタバコのニオイだが、かなり違うことがわかった。
タバコが環境に与える影響はニオイだけではないが、エチケットや臭気の点では同居する人や家屋への影響も、紙巻タバコより格段に小さい。多少なりとも不快なヤニ臭から解放される効果があるのは、確かと言えそうだ。