加熱式タバコ「においが少ない」のはなぜ? 紙巻きとの差、臭気判定士と「実験」してみた
2018.11.28 12:00
そもそも、ニオイの「質」が違う
今回の実験に協力していただいたのは、消臭・脱臭を専門とする企業「共生エアテクノ」代表で、臭気判定士の資格も持つ松林宏治さん。同社では、生活の中にあふれる様々なニオイを測定し、ニオイのオペレーターとして、企業や個人店舗などの快適な空間づくりへのアドバイスや、脱臭装置の開発を行っている。
タバコ関係では喫煙室のリノベーションや改築などで、臭気を測定しては脱臭作業に携わるなどしてきた松林さん。ずばり、タバコのニオイというのは、紙巻きと加熱式で結構違うものなのだろうかと聞いてみると、
「明らかに違います。紙巻きタバコの煙のニオイを3~4くらいとすると、加熱式タバコは1.5くらいでしょう」
との答えが。倍以上強さが違うようだが、なぜだろうか。
松林さんによれば、タバコの葉を燃やして出る紙巻きの煙には、アセトアルデヒド系の臭気成分がかなり含まれている。臭気を発する成分は大気中にさまざまなものがあるが、アセトアルデヒド系のものは人間の嗅覚でも感じやすい上に、分解されにくいという特徴がある。
そのため建物や衣服につきやすく、なかなかニオイが取れにくいというしつこさも持っている。こうした目に見えない臭気の源が、いわゆるタバコ臭としてつきまとうというわけだ。
これに対し、種類によって違いはあるが加熱式では基本的に火を使わず、ニコチンを含んだ蒸気を吸入する。アセトアルデヒド系の臭気もほとんど含まず、有害成分や焼け焦げ臭も低減されているという。
では、実際のところ紙巻きと加熱式のニオイはどれほど違うのか、松林さんの協力のもと「数値」での算出を試みた。