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15周年を迎えたウィキペディアが、地域振興の主役になるかもしれない(後編)

竹内 翔

竹内 翔

2016.02.03 11:01
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個々の活動という点を、線でつなぐ

もう一つ、2016年1月24日のイベントで「地域」にかかわる興味深い発表があった。東京・神奈川を舞台とした「ウィキペディア街道」だ。

東京・赤坂から神奈川・大山へと続く旧街道「大山道」。この街道に沿った地域の寺社仏閣や、施設などの記事を、ウィキペディアに投稿している。

主催しているのは、地域の課題をテクノロジーで解決することを目指し、プログラマーらによって各地に立ち上げられている「Cord for X」のグループだ。地域を知ることは、その課題を見つける第一歩にもなるし、ウィキペディアを通じた情報発信はそれ自体、前述のとおり地域貢献につながる――との趣旨から始まった。

「大山道」については、世田谷、横浜、川崎、神奈川の団体がそれぞれ持ち回りで運営している。ウィキペディアタウンが、特定の街といういわば「点」にスポットを当てた試みであるのに対し、「ウィキペディア街道」はこれらの点を「線」でつないだ点がユニークだ。一地域のコミュニティだけでは難しい問題(たとえば開催に当たっての人員確保や、運営のノウハウなど)も、複数のコミュニティが協力し合えば、解決できることもある。

24日のイベントより。利用者の意見交換が盛り上がった(編集部撮影)
24日のイベントより。利用者の意見交換が盛り上がった(編集部撮影)

運営に携わる小池隆さんによれば、たとえばお寺などに撮影の許可を依頼しても、「ウィキペディア」の存在は多くの人が知っており(さすがにご高齢の方は「ウィキペディア?」となるらしいが)、総じて好意的に対応してもらえているという。個人個人の活動では、なかなかこうしたことは難しいかもしれない。ウィキペディアの存在が、各人の地域貢献を円滑にしている、という見方もできるだろう。

水戸道中(千住~水戸)など、大山道のみならず他の旧街道にも活動を展開していければ、というビジョンもある。小池さんは、「街道沿いにこうした文化が伝わっていくようなことになれば、面白いと思います」と語る。

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