ココからあなたの
都道府県を選択!
全国
猛者
自販機
家族
グルメ
あの時はありがとう
旅先いい話

住みやすいからこそ、クリエイティブになれる...レベルファイブが目指す、福岡が「ゲームの聖地」になる日

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.08.06 18:00
0

妖怪ウォッチの大ヒットにより、ゲームメーカーのレベルファイブはその名を全国に知られるようになった。そのレベルファイブは、創設以来現在まで、一貫して福岡市に本拠を置いている。
社長兼CEOの日野晃博さんは、生まれも育ちも職場もずっと福岡だ。地元のコンピュータ専門学校を卒業後、福岡のゲーム会社を渡り歩き、1998年に会社を設立した。

福岡市が編集するニュースサイト「#(ハッシュ)FUKUOKA」のインタビュー記事の中で日野さんは、「僕は福岡に固執しているわけではないんです」と前置きしつつも、居心地の良さを次のように語っている。

「それでも僕が本社を福岡に置き続ける理由ですが、単純に自分が"居心地がいい"からなんだと思います。例えば住環境一つとっても、適度な"都会度"と"田舎度"が両立している。東京に匹敵するほどの遊び場はないかもしれませんが、退屈しないだけのスポットはありますし、特段不便なこともない。むしろ、空港へのアクセスの良さや市内のインフラ面を考えると、東京よりも便利な点はたくさんあります」
「そう考えると、居心地の良い福岡で仕事をして、生活をすること自体、僕の中ではもはや当たり前なことですし、他所に出ていく必要もないと思っています。本当に良い街だと思いますよ、福岡は」

環境の良さが大ヒット商品誕生の根源か

ビジネス誌「Wedge」2015年1月号で日野社長は、「東京へ本社を移転する気はありません。ハリウッドが映画の聖地になったように、福岡をゲームの聖地にするんです」と自らの夢を描いている。

これは単なるリップサービスではなく、同社によるゲームの聖地化活動は、実は10年以上の歴史がある。
2004年、地場のゲームソフト開発会社と一緒に、GFF(GAME FACTORY'S FRIENDSHIP)という組織を設立する。さらに2006年に福岡市と九州大学の3者が連携して「福岡ゲーム産業振興機構」を立ち上げた。

福岡ゲーム産業振興機構公式サイトトップページ

福岡ゲーム産業振興機構公式サイトトップページ

「九州・福岡を世界が目指すゲーム都市にするために――」を合言葉に、コンテストやセミナー、インターンシップ事業などを実施してきた。

福岡ほどの都市に自然が多く残っている理由

IT企業の覇者グーグルは、カリフォルニア州マウンテンビューという風光明媚な場所に本社がある。自由で楽しいオフィス環境を整えることによって社員のイノベーションを引き出しているのは有名な話だ。
日野社長が言うように、都会と田舎の魅力を兼ね備えた福岡市は、日本のITクリエイティブにとって理想郷といえ、ゲーム業界の「ハリウッド」を十分狙えるポテンシャルを持つ。

それにしても、人口150万人を超える大都市にもかかわらず自然が残っているのはなぜか。最も大きな理由は、市内に1級河川が流れていない=大量の水が確保できない地形のため、重工業が発達しなかったことが挙げられる。
博多湾は多くの生物を育み、海近くまでせり出している4つの丘陵地は緑地帯を構成している。市街化区域の20.7%は緑被地で、市民に憩いの場を提供している。

下の図は福岡市と東京都千代田区・中央区を同じ縮尺率で比較したもの。福岡がコンパクトにまとまっているのは言うまでもないが、空港の近さに改めて驚かされる。

town20150730fukuokamap_for3.jpg

天神をはじめとする繁華街もますます発展中

天神エリアは福岡最大の繁華街だが、2013から2015年にかけて大型商業施設の増床改装ラッシュが続いた。
とくに目を惹くのが福岡パルコの変貌だ。2014年11月に新館がオープンし、今年3月に本館の増床部を完成させた。30代やファミリー層を新たに取り込むため、飲食フロアを拡充し、全館でWi-Fiが接続できるようにした。また渋谷パルコでヒットしたアニメ・サブカルゾーンを「福ポップ」として開設、6月19日には「妖怪ウォッチ 発見!妖怪タウン」がオープンした。天神最大級のファッションビルとして、年間約2300万人の来場客、売上高230億円を目標に掲げる。
ソラリアプラザや岩田屋三越、福岡大丸なども大規模改装を終えたばかり。各店のし烈な競争が天神に活気をもたらしている。

もう一つの軸である博多駅前も変化を続ける。
旧博多郵便局跡地に建設中の「KITTE(キッテ)博多」は2016年春に開業予定。地下1階から7階に丸井が出店する。その売場面積は新宿マルイ本館とほぼ同じで、会員専用ページが既にオープンするなど、早くも顧客争奪戦が始まっている。
隣に建設中のJRJP博多ビルは大型オフィスビルで、LINE Fukuokaの入居が決まっている(参照:今「来てる」街・福岡! LINE Fukuoka移転で、IT都市化さらに加速するか)。 これらのビルは博多駅に直結。アクセスの良さは申し分ない。

日本郵便のプレスリリースをもとに編集部作成

日本郵便のプレスリリースをもとに編集部作成

福岡市の百貨店売上高は広島や札幌、神戸を既に上回っているが、今後さらに上昇することだろう。

商業エリア以外でも進む再開発

天神・博多駅前以外でも再開発計画が進む。
九州大学は糸島市との境に日本一の敷地を有するキャンパスを建設中した。徐々に移転が進んでいる。市内に医学部や医大病院は残るが、箱崎や六本松等のキャンパスは2018年までに完全移転する。市と大学は、跡地に教育・研究施設や商業施設を誘致する方針で、町に新たな賑わいをもたらしそうだ。

このほか2020年に地下鉄七隈線の天神南~博多間が延伸する。これによって市の西部とくに福岡大学周辺の住民は、博多駅に出るのが便利になる。

福岡は食の都でもある

生活面においても、物価が安いうえに飲食店のレベルが総じて高い。東京のように店の当たり外れがほとんどなく、「確実に美味しいメニューを食べたいなら、高い店に行かないとダメ」ということがない。博多ラーメンは日本3大ラーメンの1つだが、その相場は全国的にみて最安値クラスだ(参考:「ラーメン一杯に払える値段」、福岡県民は日本最安レベルだった)。

県内まで視野を広げれば、野菜も魚も肉も、とにかく美味しい食材にあふれている。例えば、じゃらんが2015年4月に発表した「【九州】個性派揃い!行って良かった道の駅ランキングBEST5」で、1、2、4、5位に福岡の施設がランクインしている(同率含む)。

豊かな自然、発展を続ける都市部。さらに食べ物までうまいと来れば、クリエイターの英気を養うには申し分のない環境だ。「Fukuoka」がゲーム業界の聖地として、その名を世界にとどろかせる日は。そう遠くないのかもしれない。

PAGETOP