品の良いご夫婦から届いたお手紙
結婚してすぐのころの話です。私たちは3階建ての小さなマンションの最上階に入居し、2人での新生活を始めました。少し古めのマンションなので、リビングや寝室はともに和室です。
ある日、ポストに封筒入りのお手紙が入っていました。切手はありません。差出人の名を見ると――あれっ、下の階の人じゃない。2、3度しか話したことがありませんが、品の良い感じの初老のご夫婦だったはず。
手紙には以下のような内容が、とても丁寧な字で書かれていました。
「ふすまの開け閉めの音が大きいので、大変困っております。どうかもう少し、静かにしていただくようお願いいたします」