消える高島屋とシャッター通り、そしてイオンモール...記者が見た和歌山市の今
残る百貨店は近鉄のみ...
閉店した高島屋の売場面積は4500平方メートルで、総合スーパー(GMS)並みの広さ。閉店セールを実施中でいつもよりも客はいるのだろうが、それでも客であふれているという印象はしない。
和歌山市駅は南海電鉄本線・和歌山港線、JR紀勢本線が乗り入れるが、1日の平均乗降人員は約2万人しかなく、ピーク時の半分程度まで減少している。
市中心部に残る百貨店はJR和歌山駅前の近鉄のみとなった。市内にはかつて大丸と地場資本の丸正百貨店も店を構えていたが、大丸は1998年に撤退、丸正は2001年に自己破産している。
丸正のあったビルには複合施設「フォルテワジマ」が営業している。また大丸跡にはドン・キホーテが入居しており、それぞれ一定の集客がある。
しかし、「丸正あってのぶらくり丁、ぶらくり丁あっての丸正」といわれたほど密接な関係にあった商店街「ぶらくり丁」は完全なシャッター通りと化している。
ぶらくり丁は午後2時にもかかわらず1~2割しか店が開いていなかった。たまたま定休日あるいは夏季休業中だったのかもしれないが――徳川御三家の城下町として繁栄を極めた場所とは信じられない光景だ。ずいぶん前から閉めているらしき店のショーウインドーに、服を付けたままのマネキンがいた。
残っているのは固定客のいる美容室や個性的な飲食店くらいだろうか。人影のないアーケード街は、かすかにすえた臭いがした。