「東京から秋田の地元へ、18時間の列車旅。お金がなくて駅弁が買えない私に車掌が...」(神奈川県・70代以上男性)
神奈川県在住の70代以上男性・Aさんは秋田出身で、若いころに上京した。
彼が忘れられないのは、今から55年ほど前の年末の帰郷のための列車旅。
18時間に及もぶ長旅が始まったところで、予想外のアクシデントが発生して......。
<Aさんからのお便り>
もう55年も前になります。
当時秋田の田舎から上京していた私は、年末に帰郷しようとしていました。
切符を購入して新宿駅の改札を通り、各駅列車に乗車。18時間の長旅が始まります。
「他のお客様から頂いたのですが...」
切符を購入した残りのお金は、ちょうど1000円。駅弁3回分になると踏んでいました。
しかし、赤羽駅で駅弁を買おうとポケットを探ると、千円札がありません。
血眼になって荷物も探しましたが、やっぱり無いのです。
それからは、周りの人が駅弁を食べているのを横目に空きっ腹をかかえて、停車駅では水を飲んで我慢していました。
すると、確か福島を過ぎたあたりで、車掌さんに話しかけられました。
「他のお客様から頂いたのですが、私は食べませんのでどうぞ」
そして、リンゴを差し出されました。
それまでに何回が車内検札があって、車掌さんに切符を見せていたので、もしかしたら、私がお金がなくて何も食べていないと思われたのかもしれません。
遠慮しようかと思ったのですが、空腹にはかなわず、頂きました。そのリンゴが何よりもご馳走でした。
車掌さんのお名前を聞きそびれてしまい、お礼が出来ないまま今日に至ってしまいました。
あのときの車掌さん、本当にありがとうございました。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
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