「臭くて汚いドブに落ち、ズブズブ沈んでいく友達。脇を歩いていたスーツの男性はその姿を見ると...」(神奈川県・40代女性)
今は歩道になっている、かつて存在した川での話だ。
臭くて汚い、底の見えないドブ川。
現在40代のKさん(神奈川県在住・女性)は幼かったある日、そこで友達と一緒にザリガニを探していたという。
<Kさんの体験談>
今から30年以上も前の夏の日のことです。私は小学校1年生くらいだったと思います。
近所のお寺の脇を流れる川、というか臭くて汚い、底の見えないドブ川。そのドブに落ちないように細い淵を歩いて友達と二人でザリガニを探していました。
すると突然、友達が足を踏み外しドブへ落ちてしまったのです。
ズブズブ沈んでいく友達、水位はまもなくその首まで
私はパニックになりその手を必死に掴んで引き上げようと頑張りました。
川底はまるで沼のよう。ズブズブと足が入っていってしまうので、もうすぐ友達の首元まで水位が!
その時、ドブの脇の歩道を歩いていらっしゃったスーツ姿の男性が驚いた表情で一目散に走ってきて腕まくりをし、友達の手を一緒に掴んで引き上げてくださったのです。
そして次の瞬間、サッと走り去って行かれました。ヒーローのようでした。
1分あったかどうかの出来事でしたが、その間、誰も一言も声を発することはなく、幻のような現実でした。
あの方が通りかかって助けてくださらなかったら子供の私たちは二人で溺れていたかもしれない、と思うとゾッとします。
当時、親が近所を回って助けてくださった方を探したのですが、とうとう見つからなかったそうです。
臭くて汚かったドブは今...
あの時助けて下さった方、本当に本当にありがとうございました。
私たちを目にした瞬間、一瞬の考える隙もなく体が勝手に動いたように助けて下さった様子を、今でも鮮明に覚えています。
やがてその川は整備され鯉が住めるようになり、その後いつ埋め立てられたのか、今では歩道に変わっています。
昭和時代の面影はすっかり無くなりましたが、その時のことは一生忘れられません。
感謝の気持ちは年々増すばかりです。
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