「なんか、シュール」「青森らしくて好き」 青森県警本部には〝歌う生活安全部長〟がいるらしい
青森県警にはユニークな方法で犯罪に関する注意喚起を行う警察官がいるらしい。
「詐欺・詐欺・詐欺・詐欺・詐欺~そ・れ・は、詐欺(気を付けて!)」
彼は、そんなメッセージをギターやウクレレ、さらには津軽三味線まで使い、弾き語りで伝えているのだという。
2024年5月10日、青森県警察本部は公式Xアカウント(@AomoriPolice)に1本の映像を投稿した。
【特殊詐欺被害防止ソングメドレー】と題された動画では、警察官の制服を着た男性が津軽三味線をかき鳴らし、右足では足タンバリンをシャンシャン。
「どんだば 知らねえ人からの銭この話は だげだば詐欺だんだど警察がしゃべってらじゃ♪」
と津軽弁全開の1曲目と、セリフも交えたポップな2曲目を披露している。
この歌い手はなんと、青森県警察・生活安全部長である工藤昭幸さん。
工藤さんの歌声には、こんな声が寄せられている。
「久しぶりに歌聞いて笑いました」
「青森らしくて好き」
「なんか、シュール」
県警本部の生活安全部長がなぜ、歌っているのか。Jタウンネット記者は24日、工藤昭幸さんに話を聞いた。
「歌う生活安全部長」が生まれた背景
「特殊詐欺の被害の深刻化が原因」
自身の弾き語りの背景を、そう語る工藤さん。多くの人に特殊詐欺の手口やパターンを知ってもらうために、それを歌詞に織り込んだ歌を作った。
15年5月、板柳警察署長時代に作詞・作曲したのがメドレーの2曲目「特殊詐欺防止ソング」。
LINEの相手から「楽して簡単に儲かります」は詐欺 特殊詐欺
「警察です、あなたが犯人と疑われています」も詐欺 特殊詐欺
など、具体的なセリフを盛り込んでいる。
メドレーの1曲目は津軽民謡「津軽甚句」の替え歌である「津軽詐欺だべ甚句」。23年4月、青森警察署長時代に出来たものだという。
「これをきっかけに巧妙な詐欺の手口やパターンを一人でも多くの方に伝えることができれば」(青森県警・工藤生活安全部長)
特殊詐欺被害防止ソングの歌詞は、新たな詐欺が生まれるたびにアップデートされていくとのことだ。
また、工藤さんは上記2曲の特殊詐欺被害防止ソング以外にも「ヘルメットかぶろう青森県」(※吉幾三作詞・作曲「ゆっくり走ろう青森県」の替え歌)、「交通ルールMamori隊のテーマソング」、「金融戦隊騙さレンジャーのテーマ曲」などの楽曲を手掛けてきたという。
「交通ルールMamori隊のテーマソング」に至っては、ダンスまでついていて......もしかして工藤さん、青森県警の名音楽プロデューサー?
ちなみに、工藤さんのギター歴は半世紀。
小学6年生の頃に始め、大学時代はアマチュアバンドのコンテストで青森県代表として東北大会に出場した経歴も。
津軽三味線歴は独学で学び今年で5年目、足タンバリンに至っては1週間という短時間で習得したという、音楽の才能に溢れまくっている生活安全部長なのだ。
青森県警察署の公式サイトの「広報ソング」のページ(https://www.police.pref.aomori.jp/keimubu/kouhou/song.html)では、オリジナルソングの動画(YouTube)・音源データ・ギターコード付きの歌詞PDFなどが公開されているので、歌を聞きたい人、工藤さんの楽曲をカバーしてみたい人は覗いてみては?