休符の上で「箸休め」を 神戸・元町の呉服店「丸太や」オリジナル箸置きが素敵すぎると話題
音をいったん止めることを示す記号――休符。
普段は五線譜の上にあるそれが、食卓に現れた。
「箸置き」になったのだ。食卓にさりげなく置かれた箸置きが、休符......。なんと心なごむ演出だろう。
こちらは、神戸市中央区元町通の呉服店「丸太や」の代表取締役社長・三木弦さんが2023年10月31日、自身のXアカウント(@kobe_marutaya)に投稿した写真。
「丸太やオリジナルの箸置きは休符です! なぜかというと<箸休め>だから」
そんなつぶやきが添えられた箸置きは、2万3000件を超える「いいね」を集めるなど反響を呼び、
「お洒落やねぇ」
「ステキすぎます」
「とてもオシャレで粋でカッコいい」
「こういう遊び心あるアイテム好きすぎ」
「素敵な箸休め」
など、絶賛のコメントが相次いでいる。
しかし、呉服店で「休符の箸置き」とは......? Jタウンネット記者は、三木弦さんに詳しい話を聞いてみた。
毎日がちょっと豊かなものになれば嬉しい
三木さんによると、「丸太や」の商品には音楽にちなんだものが多い。スタッフが全員音楽好きで、楽器の演奏経験があり、自分の好きなものを商品に取り入れたいと思ったからだという。
「世の中に『着物は特別な時にしか着ないもの』というイメージがある中で、弊店は普段の暮らしを楽しむために着物をお召しいただきたいという思いがあり、自分の好きなもの......たとえば音楽を着物の中に取り入れて楽しみませんか、という提案をしています。その延長で、着物を含めた様々な日本の工芸を気軽に楽しんでもらいたいとの思いから、伊藤岱玲さんの器を扱っています」(三木弦さん)
伊藤岱玲さんは、「給付のお箸置き」の制作者で、兵庫県に窯を構える陶芸家。「丸太や」では楽器柄の器を作ってもらい、扱ってきた。箸置きは、「ちょっとしたお土産感覚でお求めいただけるものを」と考えてできたものだという。
「お箸を置いて休めるものなので、休符だと洒落が効いていいと思い、休符のデザインにしました」
「日々忙しくしていると食事も簡単に済ませてしまいがちですが、箸置きを使ってお箸を休めながらゆっくり食事するゆとりが持てると、暮らしが少し味わい深くなるように思います。お使いいただくお客様の毎日がちょっと豊かなものになれば嬉しいと思い、販売を始めました」(三木弦さん)
購入する人も音楽好きが多く、お土産や発表会などの記念品に、との注文も多いそうだ。
2012年から、30個ほど発注しては、3か月くらいで販売してきた。話題のポストも、発注したものが届いたため、商品紹介のために投稿したものだ。
それが注目を浴びたことで、今回は半日ほどで売り切れてしまったという。
「伊藤岱玲さんに経緯をお話しして追加発注したら、爆笑されてました」と、三木弦さん。ご希望の方は、しばらく入荷をお待ちいただきたい、とのこと。
休符をたくさん打って、じっくり待つことにしよう。