青森の玉子とうふは、まるで「茶碗蒸し」 何故こんなに具沢山?発明したメーカーに聞く
津軽地方では当たり前らしい
観光企画課の職員の話によると、茶碗蒸し風の玉子とうふは青森県内の全域で販売されている。とりわけ津軽地方で親しまれているという。職員自身も津軽地方・弘前市出身で「夕食など食事の時に普通に並んでいました」。
「茶碗蒸し風」ではあるが、「茶碗蒸し」との違いも明確にある。
「青森の茶碗蒸しは銀杏の代わりに栗の甘露煮が入っていて、甘い味付けになっています。茶碗蒸し風の玉子とうふは栗の甘露煮が入っていなくて、茶碗蒸しよりもダシの味を楽しむ感じです」(観光企画課の職員)
話だけ聞くと、「青森の茶碗蒸し」よりも「青森の玉子とうふ」のほうが、記者(埼玉県出身)の知っている「茶碗蒸し」に近い気さえしてきた。
そんな「茶碗蒸し風玉子とうふ」は、なぜ生まれたのか。記者は26日、茶碗蒸し風の玉子とうふを生み出した木戸食品を取材した。
同社の社長・木戸宏文さんによると、木戸食品は1907年に豆腐屋として創業した。「茶わんむし風玉子とうふ」が発売されたのは1970年のこと。
「私の父にあたる先代の木戸宏がある娘さんを嫁にもらおうと挨拶に行ったら、相手の父親から『豆腐屋に娘はやれない』と言われたそうです。その出来事がきっかけで一念発起して卵とうふの研究を始めたそうです」(木戸社長)
そのエピソードだけでなく、豆腐製造を営む同業者が増えたことも理由のひとつ。価格競争が激化する中で差別化を図るために、一般の豆腐とは異なる新商品の開発に取り組んだのだ。