なぜこれまで存在しなかった? 道民最愛「やき弁」の新フレーバーがしっくりきすぎる
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百一回 東洋水産「やきそば弁当」の「北見焼肉味」と「シーフード味」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百一回目となる今回は、東洋水産の「やきそば弁当」の新フレーバー2品、「シーフード味」と北見市で活動するカーリングチーム「ロコ・ソラーレ」が監修した「北見焼肉味」をレビューします。
北海道名物である「やきそば弁当」シリーズ。今回の2品も、北海道らしい味でした。
道民最愛のカップ焼きそば「やきそば弁当」
「やきそば弁当」は、北海道限定で発売されているカップ焼そばブランドで、「やき弁」の名で親しまれています。
北海道民の間では、「カップ焼そば」といえば「やき弁」。
あの「UFO」や「ペヤング」ですらマイナー役に回らざるをえないほど、北海道では絶対的な地位を築いています。
北海道土産や北海道物産店などの定番としてもおなじみですよね。
「やき弁」は、基本的に北海道内のみで流通するローカルブランドですが、ノーマル味は「やきそば弁当」「大判やきそば弁当」「でっかいやきそば弁当」の3サイズ展開、他にも5種類のフレーバーがレギュラー商品としてラインアップされており、「やき弁」の人気の高さが窺えるかと思います。
今回新たに登場した2品、「北見焼肉味」と「シーフード味」は、果たしてどんな味なのでしょうか。
ロコ・ソラーレ監修!「やきそば弁当 北見焼肉味」
まずは、「やきそば弁当 北見焼肉味」からレビューしていきます。
パッケージには、カーリングチームの「ロコ・ソラーレ」の面々がプリントされていて「私たちが監修しました!」と書かれています。ロコ・ソラーレのメンバーが、話題になった「もぐもぐタイム」みたいなノリで開発品の味見をしながらあれこれ言い合っている様子を思い浮かべると、なんだか楽しくなりますよね。
再現されている「北見焼肉」は、チームの本拠地がある北海道・北見のご当地料理。七輪で豚ホルモンや牛サガリを焼き、玉ねぎやフルーツなどが入ったタレで食べる焼肉料理です。
北見は日本一の玉ねぎの産地としても知られており、玉ねぎの入った焼肉タレがご当地グルメのスタートなのかもしれませんね。
「やき弁」といえば、麺の戻し湯で作るスープ付きなのもおなじみ。
カップ焼そばとしてはちょっとやさしい味の焼そばを、塩気強めなスープと一緒に味わうのが「やき弁」のスタイルとなっています。
フレーバーによって「中華スープ」と「コンソメスープ」が使い分けられており、「北見焼肉味」に入っているのはノーマル味と同じ「中華スープ」です。
ソースは、玉ねぎやりんご果汁が入った「北見焼肉」のタレをイメージしたニンニク風味のしょうゆ味。
焼肉のタレのようにとろみがついており、湯気からも焼肉のような臨場感ある風味が立ち上っています。
ただ、「やき弁」全般の特徴である、刺激の少ないやわらかい味であることに変わりはなく、焼肉味としてのパンチ力は少し足りない印象。ソースだけ舐めるととても焼肉らしい味なのですが、麺と一緒に食べるとおとなしくなってしまいます。
タレの甘みや焼肉の風味をもっと強調すると良さそうですが、そうするとスープと一緒に食べることで最適化される「やき弁」らしさは消えてしまうのかもしれませんね。難しいところです。
やさしい味は「やき弁」らしい、けど...
白胡椒と白ごまが入ったふりかけは、やさしい味のソースにハッキリした輪郭を加えています。
北見焼肉のタレにも、玉ねぎとともに粒ごまが入っている場合が多いようです。
麺は、中太で縮れのついた油揚げ麺で、ノーマル味よりもひとまわり太め。
油揚げ麺臭が強めで、やさしい味のソースの中で麺が目立ってしまっており、麺とソースのバランスはあまり良くなかったです。
麺がもうちょっと細かったら、ソースの焼肉の味がもっとわかりやすく感じられたかもしれません。
具は大豆挽肉とネギ。ネギは大きめカットのものが入っており、甘みがソースの中でアクセントになっていましたが、焼肉の薬味としてはだいぶ大きいような......。
たくさん入っている大豆挽肉は、見た目ちょっと焼肉感ありますが、味にはまったく肉感がありません。
せっかくの焼肉味なので本物の肉を入れて欲しかったとは思いますが、昨今の状況を考えると、具にコストを回せないのは致し方ない部分もありそうです。
6月にはカップ麺のさらなる値上げも待っているみたいですしね。
レギュラー化確定!? 「やきそば弁当 シーフード味」
続いては、「やきそば弁当 シーフード味」。
「ロコ・ソラーレ」が描かれた「北見焼肉味」のパッケージに比べてだいぶ硬派な、まるで古くからレギュラー商品として君臨しているような落ち着いたデザインとなっています。
「北見焼肉味」はご当地料理の再現でしたが、「シーフード」もまた北海道らしいフレーバーですよね。
シーフード味のカップ焼そばは「UFO」や「ペヤング」などでもよく登場している定番味なので、6種もレギュラー商品のある「やき弁」でこれまで「シーフード味」がなかったことが不思議なくらいではないでしょうか。
ちなみに、東北・信越限定の「焼そばバゴォーン」からも、「シーフード味」が同時発売されています。
「北見焼肉味」と同じく、戻し湯で作る中華スープが付いています。
一般的なシーフードヌードルだと、イカ、かにカマなどが入っている上に、真っ白なスープがいかにもシーフード感を高めてくれるのですが、この商品はパッと見た感じ、細切りのかにカマくらいしかシーフード要素がなく、ちょっと不安になってしまいます。果たして、お味は......。
ソースはあさりの旨みを効かせた塩味。あさり特有のほろ苦さはないものの、やさしい味に仕上げることが多い「やき弁」にしては、甘みを伴った旨みがしっかり前面に出てきます。
複雑な味ではないですが、なぜ今まで定番品ではなかったのかと不思議なほどしっくりくる、ある程度誰が食べても楽しめそうな安定の味。
ビックリするようなおいしさがあるわけではないですが、パッケージデザインで抱いた印象と同じく、やはりレギュラー化されるのかもしれないですね。
麺がソースの味を引き立てる
白胡椒と白ごまの入ったふりかけは、「北見焼肉味」と同じもの。
ソースのシーフード味は濃いめですが、決してエッジの効いた味というわけではないため、白胡椒のパンチと白ごまの香ばしさがソースの輪郭部分を担い、なかなか好相性でした。
麺は細めで縮れのついた油揚げ麺。
こちらも油揚げ麺臭が強めですが、「北見焼肉味」に比べると細く、ソースのシーフード味の旨みが強いため油揚げ麺臭はそれほど目立たず、ソースの味をきちんと引き立てていました。
具は細切りのかにカマとキャベツ。
「シーフード味」としては、具のシーフード要素がかにカマしかないはちょっと物足りないですが、ソースが思いのほか濃いシーフード味だったので、食前の不安は杞憂でした。
キャベツがたくさん入っていて、シーフード味の甘みと共鳴しています。
「やき弁」を食べに北海道へ?
全国的にも有名になった「やき弁」は、レギュラー商品なら北海道外でも手に入れられる場所が増え、それほど珍しい存在ではなくなりました。
一方で、今回のような新商品やスポット商品は、全国的に出回る機会があまり多くないものと思われます。
雪まつりが終わって観光シーズンが一段落した北海道に、「やき弁」を目的のひとつとして訪れてみるのも良いかもしれませんね。