「日本最古の石ハネ」「加藤清正時代のものと酷似」 歴史的遺構、球磨川の堤防で「今だけ」露出中
堤防の安全性を確保すると遺構が埋没
石ハネがある萩原堤防は、治水上の重要度が非常に高い堤防だ。万が一破堤すると八代市内に甚大な被害を及ぼすおそれがある。
しかし、球磨川の水の流れが特に強く当たる場所なので、堤防が削れる「深掘れ」が起こり、安全性の低下が起こっているという。
そこで、現状厚みが不足している堤防を補強する工事を行っているのだが、安定性を確保するためには、堤防の幅を広げる必要がある。そうすると、現存している4つの石ハネのうち3つ(丸ばね・山下はね・寺ばね)は埋没してしまう形になるのだ。
しかし、石ハネは歴史的遺構。八代河川国道事務所の方針は、堤防の機能を確保したうえで、石ハネも保全するというものだ。そのためにも歴史的価値を正しく評価する必要があるので、現在、八代市文化振興課に「丸はね」「大はね」の埋蔵文化財調査を依頼し、構造や構築状態を調べている。これが「期間限定露出」のワケである。
「(埋没させる)工事の前にしっかり構造や高さを改めて調査しています。その結果、石ハネが想定していたより高い位置にあるといった事実がわかれば、埋没保全ではなく、別の方法で保全する場合があります」(八代河川国道事務所)
また、埋没させることになった場合も、単に埋めてしまうというわけではない。表面を被覆して保全したうえで、石ハネの歴史的価値を伝える解説板を設置したり、埋まっている場所の上部に石張りでかさ上げすることで、石ハネの形状を復元したりする案もあるようだ。
八代市文化振興課による調査は、4つの石ハネのうち2つ(大はね・丸ばね)について、22年11月1日から23年3月末まで行われる予定。見ておきたい人はお早めに。