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「深夜のコンビニで、いつもの店員が話しかけてきた。無視しようとしたけど、言われた言葉に泣いてしまい...」(愛知県・30代女性)

大山 雄也

大山 雄也

2022.12.22 11:00
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シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Sさん(愛知県・30代女性)

愛知県出身のSさんは、大学進学で静岡に移住した。

1年生の頃、アルバイトしていたのは個人経営の塾。それは思っていたよりも過酷な仕事で、日付が変わってから帰宅することも。

そんな彼女にとって帰り道にあるコンビニは無くてはならない存在だった。

毎日コンビニによってから家に帰っていた(画像はイメージ)
毎日コンビニによってから家に帰っていた(画像はイメージ)

<Sさんの体験談>

今から10年以上前、大学進学で地元・愛知を離れた私は、静岡で一人暮らしをしていました。

大学1年の時に個人経営の塾でアルバイトを始めたのですが、それは想像よりも辛くて、タイムカードを切ると夜中の12時すぎることもしばしば。帰り道にコンビニによって、翌日のご飯を買う毎日でした。

いつもの店員がいきなり話しかけてきた

大体いつも同じ時間帯に行っていたので、レジに立っているのも同じ店員さんです。

細身の30代男性で、慣れた手つきで仕事をする人でした。すごく物静かで、時々スプーンを入れ忘れてお客さんに注意されるようなおっちょこちょいな一面も。そんなこともあってか、「申し訳ありません」が彼の口癖でした。

いつも同じ店員が立っていた(画像はイメージ)
いつも同じ店員が立っていた(画像はイメージ)

彼の存在を大きく感じるようになったのは、出会って2か月ほど経ったころにあった出来事がきっかけでした。いつものようにサラダパスタと水を持ってレジに向かうと、いきなり話しかけられたのです。

「あの、勘違いでしたら申し訳ありません。今日、何か辛いことでもありました?」

今まで話したこともないのに、急に何を言っているんだろう? 不思議に思って無視しようと思ったのですが、気がつけば私の目からは涙がポロポロとあふれていて......。

私は「ごめんなさい。なんでもないですから」といってお釣りをもらって帰ろうとしました。すると店員さんは、両手で優しくお釣りを渡しながら、こう言ったのでした。

「自分に嘘はつかない方がいいですよ。辛かったら辛いって、誰かに言って良いんですよ」

悩み相談ができる「お兄ちゃん」

その時は赤の他人の前で泣いてしまったことがたまらなく恥ずかしく、お礼も言わずに店を出てしまいました。

でもその後、彼は私の顔を見ると話しかけてくれるようになり、私も彼と話している時は安心していることに気づきました。まるで悩みを相談できるお兄ちゃんができた感覚でした。

時には私が泣き止むまでずっとそばにいてくれたり、気づけば他愛もない話で1時間以上立ち話をしたり、1度だけ一緒にご飯を食べに行ったこともありました。今となっては甘酸っぱい思い出です。

立ち話や食事に行くこともあった(画像はイメージ)
立ち話や食事に行くこともあった(画像はイメージ)

そんな日々が3年間続き、私は大学を卒業。地元愛知に帰ることになりました。

彼にもそのことを報告すると「また何かあったらいつでも来てください」と言われ、私はなぜか切なく、そして悲しくなってしまったのです。

しかし、いつまでも彼に頼ってはいけないと思い、明るくお別れしました。

3年越しの再会で彼は...

そのコンビニを再び訪れたのは、卒業から3年後。大学の同級生の集まりがあったときのことです。

そこには変わらず、彼がいました。

しかし、私のことを覚えていてくれているか確信が持てず、何も言えないまま。いつもなら電子マネーを使うところを、わざと現金で払って時間稼ぎをしたものの、レジか終わってしまいそうになりました。

現金払いで時間稼ぎをした(画像はイメージ)
現金払いで時間稼ぎをした(画像はイメージ)

何も話さない彼に、「もう忘れてしまったのだ。私は所詮お客さんでしか無かったんだな」と悟った私は、せめてあの時のお礼だけでもしようと思いました。

「あのっ、だいぶ前にあなたにお世話になりました。その節はありがとうございました!」

後ろに何人か並んでいたので、それだけ言って帰ろうとしたその瞬間、彼は小さな声で

「お帰りなさい、元気で良かった」

とだけ言って、初めて話したときのように優しくお釣りを渡してくれました。

それ以降、彼とは一度も会えていません。我慢せず、辛い時は周りを頼っていいということを教えてくれたことに、今でも本当に感謝しています。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!

名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。

Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージメール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください)

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