まさか皆で吸ってるの...? 謎のイベント「秦野たばこ祭」の実態を、現地で調査してきた件
秦野のたばこ産業を再び盛り上げるために
輝かしい歴史ばかりではない。第二次世界大戦の戦中、秦野のタバコ耕作は落ち込んだのだ。さらに戦後の不況期とあいまって、町からは活力が失われた。
そんな秦野のタバコ耕作のピンチの中、第一回目の「たばこ祭」が開催される。
1948年、神奈川県煙草耕作組合連合会の創立25周年を記念するため、また不況期を官民一体となって乗り越えるために様々な企画が行われた。その1つが「たばこ祭」だったのだ。
衰退したタバコ耕作を再び発展させ、秦野を復興させよう――。そんな思いで開催されたイベントだったが、葉タバコ農家は減少していき、「秦野葉」も74年に終了。そして、タバコ耕作自体も84年に終焉を迎えた。
しかし、タバコ耕作で栄えた歴史を秦野市が忘れることはない。
本町小学校と上小学校の校章には葉タバコがデザインされている。市役所の入り口は「秦野煙草の碑」が設置されている。祭りの前後には市役所や公民館、秦野駅や「グランドホテル神奈中 秦野」などで葉タバコの実物展示が行われる。
そして、禁煙時代と言われる現代になっても、祭りは「たばこ祭」という名のままだ。
祭りの要所要所に登場する「火」は、葉タバコ耕作に携わった先人の情熱を表したものだそう。
「どんな奇妙な祭りなんだろう」なんて軽い気持ちでやってきた記者だったが、帰宅する頃にはすっかり、火のようにアツい「たばこ祭」に魅了されきっていた。